[O-3-274] pcASLを用いた髄膜腫の腫瘍血流量の評価:微小血管密度と病理組織診断との相関について
【背景と目的】3TMRI装置を用いたpseudo-continuous arterial spin labeling (pcASL)は頭蓋内腫瘍血流量を通常のMRI撮影時に造影剤を用いることなく短時間に測定することが可能である。臨床での汎用性の高さから、既にさまざまな脳腫瘍への臨床応用が報告されている。今回我々はpcASLを用いて髄膜腫の腫瘍血流量を測定し、摘出標本の微小血管密度と病理組織診断(WHO分類)との関連について検討したので報告する。【方法】当院で摘出術を施行した連続24例の髄膜腫症例に対して術前に通常のMRIに加えてpcASLを撮影した。3TMRI装置は、GE社製Discovery 750を用いた。ROIを腫瘍の最大径のスライスに設定し造影前のT1WIと造影後のT1WIのSignal intensityの比から造影効果を算出し、pcASLによって腫瘍血流量(ml/min/100g)を測定した。最初の16症例に関してCD31染色を用いて微小血管密度を算出した。WHO分類に従って摘出標本の診断を行なった。造影効果と腫瘍血流量と,微小血管密度との相関を検討した。腫瘍血流量とWHO分類との相関を検討した。【結果】造影効果と微小血管密度には相関はみられなかった。腫瘍血流量と微小血管密度には有意な相関がみられた(p<0.05)。病理組織診断は、16例がmeningothelial、4例がangiomatous、2例がfibrous、1例がtransitional、2例がatypical meningiomaで、それぞれの平均腫瘍血流量は、146.1、459.9、50.3、377.1、126.1 ml/min/100gでangiomatous meningiomaは他の腫瘍型よりも有意に腫瘍血流量が高かった(p<0.05)。【結語】pcASLを用いた髄膜腫の腫瘍血流量は微小血管密度を反映し、微小結果密度が豊富なangiomatous meningiomaを術前に他の腫瘍型から鑑別するのに有用である。