第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

灌流-脳疾患

灌流-脳疾患

2014年9月20日(土) 10:30 〜 11:20 第2会場 (3F 源氏の間東)

座長:山田惠(京都府立医科大学 放射線医学教室)

[O-3-280] 慢性脳虚血性疾患の循環予備能に対するALSの有用性の検討

尾野英俊1, 上山憲司2, 大里俊明2, 片岡丈人2, 渡部寿一2, 麓健太朗2, 中村博彦2 (1.中村記念病院 放射線科, 2.中村記念病院 脳神経外科)

【目的】慢性脳虚血性疾患における循環予備能の評価は主に安静時およびアセタゾラミド負荷による123I-IMP SPECT により行われている。今回我々はTIを3点設定してASLを施行することにより循環予備能を簡便に評価できるか検討した。【方法】対象は内頸動脈狭窄症例6例、中大脳動脈狭窄/閉塞症例9例。使用機種はSiemens社製 3T MRI装置でPASLを施行。TI = 1,500/ 1,990/ 2,510 msの3点より得られたそれぞれのperfusion mapにおいて、中大脳動脈領域および境界域の健側と患側にROIを設定し、患側/健側比を算出し、123I-IMP SPECT(安静時/負荷時)と比較した。また、perfusion mapにおける血管信号の残存の有無に関して評価を行った。【結果】TI = 2,510 msにおいて血管信号が残存していた症例(10/15例)ではSPECTにおいて血管反応性は低下していた。血管信号の残存が見られない症例(5/15例)では血管反応性は保たれていた。安静時SPECTでCBFが保たれていた症例(12/15例)はTI = 2,510 msで患側の中大脳動脈領域および境界域の信号は健側とほぼ同等もしくは上昇していた。安静時SPECTでCBFが低下していた症例(3/15例)ではTI = 1,500 msだけではなく、TI = 2,510 msにおいても患側の中大脳動脈領域もしくは境界域において信号低下が見られた。【結語】慢性脳虚血性疾患におけるASLでは循環予備能の違いにより異なるperfusion mapを示した。SPECTとの比較において、より長いTIを設定したASLで血管信号が残存する場合には血管反応性は低下しており、患側のperfusion signalが対側に比し低下している場合には安静時CBFが低下していた。今回の検討は症例数が少なく定性的評価ではあるが、より長いTIを設定したASLは慢性脳虚血性疾患における循環予備能の評価に有用であると思われる。