第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

心臓

心臓2

2014年9月20日(土) 10:40 〜 11:20 第3会場 (3F 源氏の間南)

座長:長尾充展(九州大学大学院 臨床放射線科学分野 分子イメージング・診断学講座)

[O-3-295] MRIによる心臓周囲脂肪の定量化

佐野雄一郎1,2, 妹尾淳史2, 寺島正浩1, 小山望1, 佐々木毅3, 稲本英樹1, 宇佐知里郁1, 吉田諭史1, 黄田理恵子1 (1.心臓画像クリニック飯田橋, 2.首都大学東京人間健康科学研究科 放射線科学域, 3.東京医科歯科大学 循環器内科・不整脈センター)

【目的】心臓周囲脂肪(pericardial fat)、とくに心外膜下脂肪(epicardial fat:ECF)は動脈硬化に起因する炎症性サイトカインという物質を多く分泌することが知られている。ECFをCTで定量測定した報告があるが、MRIと比較検討した報告はない。今回MRIとCTの両者でECFの撮像および測定し比較・検討したので報告する。
【方法】MRI装置はTOSHIBA社製1.5T Vantage Titan、CT装置はTOSHIBA社製 Aquilion ONE、ECFの定量解析・画像作成はZiosoft社製ZioStation2を用いた。本検討は本学倫理委員会の承認を受け、対象者は検討内容の趣旨を説明し同意を得られた被験者20名で、冠動脈CTを撮像後MRIにてECFを追加撮影した。
【結果と考察】MRIとCTで定量したECFの体積は相関係数0.96(P<0.05)とかなり強い正の相関であった。またMRIに比してCTによるECFの体積は1割程度少なくなる傾向であった。CTではほぼ全症例で1beatでの撮影が可能だったためアーチファクトも少なくECFと心膜外脂肪(paracardial fat:PCF)の境界が明瞭であった。これに対しMRIはの心拍変動や呼吸同期不良等の影響によりECFとPCFの境界が不明瞭な部分が存在し、オーバーサンプリングが原因で測定値が高くなったと思われる。
MRIで撮影したECFはCTと同様に簡便に分離抽出し定量測定することが可能であった。今後、ECFと冠動脈疾患の関与が解明されれば、冠動脈疾患予防の指標になる可能性があり、さらにMRIは被ばくが無いことから短期間での経時的変化を評価可能である。今後予防医学的にMRIによるECF定量化の需要が高まると考えられる。