第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

画像計算

画像計算

2014年9月20日(土) 09:40 〜 10:30 第4会場 (3F 源氏の間北)

座長:尾藤良孝(株式会社日立メディコ MRIシステム本部)

[O-3-306] SPM8を用いた機能画像標準化手法についての検討

浅水屋剛, 上野賢一, 程康 (理化学研究所脳科学総合研究センター 研究基盤センター)

ヒト脳機能画像の集団解析において脳の標準化は必須の作業である。いわゆる標準脳と呼ばれる基準脳データと合致するように意図的に空間を歪ませることにより実現される。代表的なものとしてMNI座標系とTalairach座標系があげられる。MNI座標系はSPM8やFSLにおいて採用されており最も広く用いられている。SPM8を用いた標準脳変換の手順は複数あり、本研究では手順の違いが標準化の結果にもたらす影響について調べた。4テスラMRI装置と16チャネル受信コイルを用いて得られた日本人被験者29人分のT1強調構造画像(128^3,1.72mm等方解像度)と機能画像(64x64,3mm面内解像度,3mm厚,1mmギャップ,25枚スライス)を用意し、以下に述べる手順で検証を行った。<手順1>A.構造画像から白質・灰白質・脳脊髄液を抽出し、これらの情報をもとに非線形変換による標準化を施す。B.構造画像を直接構造画像テンプレートに合わせる非線形変換による標準化を施す。 C.機能画像を機能画像テンプレートに合わせる非線形変換による標準化を施す。<手順2>A,B,Cで生成された変換行列によりAの過程で取得した白質・灰白質体積を変換、これを変換後の脳体積として扱う。<手順3>構造画像テンプレートから生成された脳体積(白質+灰白質)と変換後の脳体積をボクセル毎に比較し、相違のあるボクセルの総数をエラー指標とする。このエラー指標の被験者間平均を算出する。<手順4>一方、A,B,Cで生成された変換行列を用い構造画像を変換し、変換後の構造画像から前交連(AC),後交連(PC)座標を抽出する。これらの座標について被験者間の平均をとり、ぞれぞれの被験者のAC,PC座標について平均座標からの距離を算出する。<手順3>および<手順4>の結果として、A>B>Cの順で有為に変換精度が異なることが示された(p<0.001, p<0.05)。標準化Cは構造画像を必要とせず簡便であるが、標準化Aが最も信頼度が高く、特に精度が求められる場合は標準化Aを採用すべきであると結論できる。