第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

ポスター

MRS

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2014年9月18日(木) 14:36 〜 15:00 ポスター会場 (3F 金葉の間)

座長:渡邉英宏(国立環境研究所環境計測研究センター 生体応答計測研究室)

[P-1-010] 1H-13C HMQC MRSIによる代謝計測-圧縮センシングによる高速化と腫瘍における代謝動態追跡

今井宏彦, 佐野圭, 門間翔太, 田中利幸, 松田哲也 (京都大学大学院情報学研究科 システム科学専攻)

【はじめに】化学シフトイメージング(CSI)において,スペクトル領域を従来の1Dから2Dへ拡張することは,スペクトル分解能を高め,生体内の多様な物質の観測に有効であるが,撮像時間の長期化が欠点である.これを克服するため,本研究では圧縮センシングの導入により高速化し,代謝動態イメージングを行ったので報告する.
【方法】MR測定には,動物用7T MR装置(Bruker BioSpin)及び1H/13C核送受信ボリュームコイルを使用した.2D CSIに2D 1H-13C 多量子コヒーレンス(HMQC)を組み込んだシーケンスを用い,2Dスペクトルの2D空間分布及びその時間変化を圧縮センシングの手法により再構成することを考慮したサンプリングパターンで撮像した.主な撮像条件は以下の通りである.FOV=80×40mm2,matrix=16×8,NP(1H)=256pts,NP(13C)=32pts,BW(1H)=2000Hz,BW(13C)=8000Hz,TR/TE=990/9.6ms,位相サイクル数=4,積算回数=1.本研究では,腫瘍におけるグルコース代謝を取り上げ,担癌マウスに13C標識グルコースを腹腔内投与後2時間程度の代謝過程を計測した.
【結果】今回の撮像条件では,従来のフルサンプリングの場合は撮像時間が約4時間30分であるのに対し,約2時間15分の撮像で収集したデータから時間分解能30分の動態画像を再構成可能であり,グルコース(投与物質)の減少過程,腫瘍における乳酸(代謝産物)の増加過程,時間変化しない物質として脂肪(天然存在比の13C)を観測できた.
【結論】1H-13C HMQC MRSIに圧縮センシングを導入することで,担癌マウスについて代謝動態イメージングを可能とした.ここでは,腫瘍におけるグルコースから乳酸への代謝過程に注目したが,本手法による種々の代謝過程のイメージングへの展開が期待できる.