第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

ポスター

心臓-収縮評価

心臓-収縮評価2

2014年9月18日(木) 14:36 〜 15:06 ポスター会場 (3F 栄華の間)

座長:天沼誠(高瀬クリニック 放射線科)

[P-1-027] 心エコーにて左室流出路に有意な圧格差を認めたがMRIではそれを認めなかった肥大型心筋症の検討

石川応樹1, 斎藤淳一2 (1.上尾中央総合病院 放射線技術科, 2.上尾中央総合病院 循環器内科)

【背景・目的】
臨床所見および心臓超音波検査にて左室流出路に有意な圧格差を認め、閉塞性肥大型心筋症(以下HOCM)が疑われた。しかし、心臓カテーテル検査においては有意な圧格差を認め無かった。今回、我々は心エコーと同様に非侵襲的な検査であるMRIの本疾患の圧格差評価における有用性を検討した。
【症例】
患者は74歳女性。1年以上前から労作時胸痛と呼吸苦を有し、その後症状が憎悪し、顔面浮腫も加わったため、精査・加療目的にて当院を受診した。
身体所見として、収縮期雑音あり、肺音は清、下腿に軽度の浮腫を認めていた。
胸部単純写真ではCTR:56%、肺うっ血なし、胸水なし。心電図所見はHR:70/min(正常洞調律)、左室肥大、Ⅲ、aVF誘導にて陰性T波であった。
【結果】
心臓超音波検査では非対称性中隔肥厚(以下ASH)、僧房弁の収縮期前方運動(以下SAM)を認め、過大な左室流出路圧格差もあり、HOCMが疑われた。しかし、心臓カテーテル検査結果では有意な圧格差は認められなかった。
MRI検査結果でもASH、SAM様の所見は認められたが、有意な圧格差は認められなかった。
【考察】
HOCMの診断において、心臓超音波は非侵襲的かつ簡便な検査であり、その有用性においては既知の通りである。しかし、ドプラ法による血流速度測定のサンプリングポイントの決定によっては、今回の症例のような過大評価につながる危険性が無いわけではない。
本症例のMRI検査による左室流出路圧格差は、心臓カテ―テル検査と同様に有意な圧格差を認めなかった。このことより、MRI検査は心臓超音波検査よりも定量性に優れる可能性が示唆された。