[P-1-032] Vascular Crusherを利用したMulti-phase -EPISTARの基礎的検討
【背景】当院では、ASL( arterial spin labeling)を利用し脳実質の灌流を評価する際、血流アーチファクトに悩まされることがある。これを改善する手法としてVascular Crusher(VC)が知られている。VCはbipolar flow encoding gradient(Bi-fleg)を使用し、設定速度の血流信号をディフェイズする。【目的】今回、Multi-phase -EPISTAR にVCを付加し血流アーチファクトを抑えた脳実質の灌流画像を得るためVCの特性評価を行った。【方法】使用装置は、Philips社製3.0T Achieva X-Series R2.6とSENSE-Head coil。対象は本検討の趣旨を説明し、同意を得られた健常ボランティア。撮像条件は以下の通りである。2D FFE-EPI TR250 TE19 FA30 FOV230*230*54 スライス厚10mm スライス枚数5枚Vascular crushing velocities (VC vel) [cm/s]を変化させてコントラスト比(CR)を評価した。【結果および考察】VCを用いたASL(VC-ASL)は、VCを使用しないASL(non VC-ASL)に対して脳血管の描出を抑えることが可能であった。VC-ASLではnon VC-ASLよりもIntensity CurveのPeakが遅くなる傾向を示した。通常脳動脈から脳実質に血液が運ばれることから、non VC-ASLの計測値は脳動脈の血流信号を強く反映しているのに対し、VC-ASLの計測値では脳動脈の血流信号を抑え灌流を反映していると考えられる。すなわちVCが脳動脈の血流信号を抑制していると証明された。さらに血管が描出されない遅い相のVC-ASLでは、VC vel=10cm/sで空気と脳実質のCRが良好となった。これはVC velの値によってBi-flegの強さが変化し、VC velの設定値が高くなることにより早い血流は抑制されず描出されることが起因している。そのため原画のゲインが一番高い信号に合ってしまうため、低い信号強度の脳実質は高いVC velの設定にて影響されてしまうと推測される。Multi-phase -EPISTAR にVCを利用することで、血流アーチファクトを抑えた脳実質の灌流画像を得られることが示唆された。