第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

ポスター

その他-血流評価

その他-血流評価

2014年9月18日(木) 15:48 〜 16:12 ポスター会場 (3F 栄華の間)

座長:宮崎美津恵(東芝メディカルシステムズ株式会社 MR開発部)

[P-1-038] 酸素吸入負荷を用いた肺超短縮エコー時間MRI:換気画像の可能性について

佐々木智章1, 小林圭悟1, 石戸谷俊太1, 藤本弥臣1, 高橋康二1, 小原真2 (1.旭川医科大学 放射線科, 2.フィリップスエレクトロニクスジャパン)

【目的】肺はプロトン密度が低いため、MRI検査の適応となることが少なかった。しかし、エコー時間を短く設定することで肺信号が減衰する前に、肺信号をとらえられるようになった。さらに、磁性体である酸素で肺信号が変化し、換気画像として用いられる可能性がある。今回はUTE-MRI下において酸素負荷により換気画像へと応用できるかどうか基礎的な検討を行う。【方法】21人の健常者を対象として、肺MRIを施行した。1.5T MRI装置(Achieva 1.5T, Philips)を用いて仰臥位、安静呼吸下で撮像後、酸素12l/min吸入させ5分経過してから再び撮像した。全肺MRIを3D gradient法で撮像した(TR 4.4 msec, TE 0.2, 0.8, 1.4, 2.0 msec,FOV 350 mm, matrix 128x128, slice 2.73mm x128, coronal撮像、感度補正あり、第1エコーを使用)。酸素吸入前後のT2*値の変化、それぞれのTEでの肺信号変化率(酸素増強効果率)を評価した。さらに局所(肺を腹側、中央、背側と分類)の酸素増強効果率もTE 0.2の時に評価した。【結果】酸素吸入前の全肺のT2*値は1.69 msecで、酸素吸入後の全肺のT2*値は1.49 msecと有意に短縮した(P<0.05)。酸素吸入前後による酸素増強効果はTE 0.2で1.16倍、TE 0.8で1.05倍と有意に増加した(P<0.05)が、TE1.4とTE2.0では有意な信号変化はなかった。局所の酸素吸入増強効果率は腹側(1.40-1.44倍)、中央(1.36-1.41倍)、背側(1.26-1.28倍)で、腹側の方が酸素吸入後に有意に増強された(P<0.05)。酸素吸入負荷後に有害事象は起こらなかった。【結論】肺超短縮エコー時間MRIは安全に施行でき、肺実質信号を有意なものとして取得し、さらに換気画像の可能性を示すことができた。