[P-1-058] DWIBS法を用いたwhole body MR-neurography:評価方法の検討
【背景・目的】慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP) は慢性あるいは再発寛解性に末梢神経系を障害する疾患であり, DWIBS法を用いたMR neurography (MRN) で肥大した末梢神経が描出されることが知られている. 今回我々は, DWIBS法を用いたwhole body MRNにて健常者とCIDP患者の全身の末梢神経の描出を試み, whole-body MRNの最適な評価方法を検討した. 【方法】対象は健常者5例, 上肢優位の神経症状を呈するCIDP患者5例(definite CIDP; 4例, probable CIDP; 1例)である. MR装置はIngenia 3.0T (Philips社製)を用い, 後頭蓋窩レベルから下腿部までのDWIBS (EPI single shot, FOV; 450×290mm, Matrix scan; 112×103, Slice; 95, Slice thickness; 3mm, TR; 9578ms, TE; 80ms, b-factor; 800, motion-probing gradient direction; A-P, NSA; 8) を軸位断で6ステーション撮像した. DWIBSのMIPを作製し白黒反転したものをwhole body MRNとした. 参考として, 同部位のSTIRを撮像した. DWIBS 軸位断において, 声帯下~肺野上縁レベルに矩形のROIを左右対称に設定し, 信号強度の平均値, 最高値, 各小脳比を計測した. これらのパラメータを健常者とCIDP患者で比較した. 【結果】健常者とCIDP患者全例において, 腕神経叢, 腰神経叢, 上下肢末梢神経の描出が可能であった. CIDP患者において, 健常者と比べ視覚的に全身の末梢神経の肥大と信号上昇を認めた. ROI計測では, 健常者と比べCIDP患者にて平均値, 最高値は高値を示し, 腕神経叢内側の平均値で最も有意差が見られた. 【結論】DWIBS法を用いたwhole body MRNでは, 全身の末梢神経の描出が可能であった. CIDP患者では, 健常者と比べ腕神経叢, 腰神経叢, 上下肢末梢神経の形態変化が見られた. CIDP患者におけるROI解析評価法には腕神経叢内側での平均値が最も適していると考えられた.