第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

ポスター

脳・脊髄-拡散

脳・脊髄-拡散1

2014年9月18日(木) 14:00 〜 14:48 ポスター会場 (5F 通路)

座長:八木一夫(首都大学東京大学院人間健康科学研究科 放射線学域)

[P-1-071] パーキンソン病における黒質線条体ドパミン作動性ニューロン投射モデルと拡散定量値の関係

錦織瞭1,2, 鎌形康司2, 波田野琢3, 奥住文美3, 堀正明2, 鈴木通真2, 濱崎望2, 佐藤秀二2, 服部信孝3, 青木茂樹2, 妹尾淳史1 (1.首都大学東京大学院 放射線科学域, 2.順天堂大学 放射線科・部, 3.順天堂大学 脳神経内科)

【目的】パーキンソン病(Parkinson’s disease ; PD)は,ドパミン作動性黒質線条体投射の喪失により,動作緩慢,筋強剛,振戦,姿勢反射障害などの運動障害を生じる.Iodine-123 fluoropropyl-carbomethoxy-3 β(FP-CIT)を用いたSPECT画像では,Jellingerの描いたPDサブタイプごとに異なる,黒質線条体ドパミン作動性ニューロン投射モデルに一致した関連性を示すという報告がある.本研究では,Zoomed EPIシーケンスで撮像した高精細なデータを用いてdiffusional kurtosis imaging(DKI)解析を行い,PDサブタイプごとに拡散定量値が黒質線条体ドパミン作動性ニューロン投射モデルに一致して変化するかどうか,またその各種定量値が臨床スコアと相関するかどうかを検討する.
【方法】無動‐筋強剛型優位型PD患者11名,振戦優位型PD患者8名,健常ボランティア9名に対し3.0T MR装置でデータを取得した.Zoomed EPIシーケンスを使用し,大脳基底核レベルを0.98mm×0.98mmの面内分解能で撮像した.その他撮像パラメータはMPG,32軸;b値=0,1000,2000s/mm2;Δ/δ,45.3/13.3msとした. dTV.II.FZRxを用いてfractional anisotropy(FA)map,mean diffusivity(MD)map,mean kurtosis(MK)mapを作成し, ROI解析を行った.ROIの設置場所は前方被殻,後方被殻,および尾状核頭部である.群間比較はstudent t検定で行い,多重比較の補正はBonferroni法を用いた.またPearsonの積率相関を用いて拡散パラメータと運動症状の指標であるUnified Parkinoson's Disease Rating Scale(UPDRS)3との相関解析を行った.
【結果】FA,MDについてはサブタイプによる有意差は認められなかったが,無動‐筋強剛優位型PDでは患側と反対側の後方被殻のMKが有意に高く(P=0.0053),振戦優位型PDでは両側尾状核のMKが有意に高くなっており(P=0.0012,0.0006),黒質線条体ドパミン作動性ニューロン投射モデルを反映したと思われる変化を示した.また拡散パラメータと臨床スコアとの間に有意な相関は見られなかった.
【結論】高精細DKI解析は非侵襲的に、黒質線条体ドパミン作動性ニューロン投射モデルに基づいた基底核変性をサブタイプ毎に検出することができる.