第42回日本磁気共鳴医学会大会

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ポスター

女性生殖器

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Fri. Sep 19, 2014 9:30 AM - 10:12 AM ポスター会場 (3F 金葉の間)

座長:高畑暁子(京都府立医科大学 放射線診断治療学)

[P-2-090] 子宮癌肉腫のMR所見の検討:拡散強調像とMRスペクトロスコピーを含めて

竹内麻由美, 松崎健司, 原田雅史 (徳島大学医学部 放射線科)

癌肉腫は子宮肉腫で最多の高悪性度腫瘍であり、子宮内膜癌との鑑別が問題となる疾患である。今回我々は子宮癌肉腫のMR所見についてDWIとMRSを含めて検討した。組織学的に診断された癌肉腫11症例に対し、臨床用3T装置を用いてDWI(b=800)およびMRS(PRESS, TE=144ms)を施行し、内膜癌48症例と対比検討を行った。また形態および内部の性状、造影効果(10例)についても検討した。癌肉腫11例中8例(73%)は外向性発育(広基性6、有茎性2)、3例(27%)が浸潤性発育を呈し、4例(36%)で分娩像を呈した。T1WIで高信号の出血は5例(45%)、T2WIにて嚢胞形成は8例(73%)でみられた。造影では7例(70%)で主に筋層と同程度の強い造影効果を呈し、3例(30%)では主に弱い造影効果を呈したが内2例で一部に強い造影域を伴っていた。また8例(80%)で壊死を反映した不染域を認めた。DWIでは癌肉腫、内膜癌ともに全例で強い高信号を呈した。癌肉腫のADC値は0.92/0.73(mean/minimum)であり、内膜癌(0.84/0.72)と有意差を認めなかったが、G1内膜癌28例(0.88/0.75)およびG2以上の内膜癌20例(0.79/0.67)との比較ではmean ADCがG2以上症例より有意に高く(p<0.05)、悪性度に比して高い傾向を認めた。癌肉腫では10例でMRSが評価可能であり、cholineの定量値が癌肉腫(5.38 mM)では内膜癌(11.53 mM)より有意に低かった(p<0.001) 。Lipidのピークは内膜癌の26例(54%)、癌肉腫全例で検出され、内膜癌では13例(27%)、癌肉腫では9例(90%)で高いピークを認めた。悪性度に比して高めのmean ADCと低めのcholineはいずれも組織レベルでの壊死や出血、嚢胞、間質成分などの混在によるROI内の腫瘍細胞の減少を反映し、癌肉腫の組織学的特徴に合致するものと考えられ、高悪性度を示唆する壊死を反映した高いlipidのピークの存在と、MRIで描出される特徴的な形態および内部の性状が診断に有用と考えられた。