第42回日本磁気共鳴医学会大会

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ポスター

女性生殖器

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Fri. Sep 19, 2014 9:30 AM - 10:12 AM ポスター会場 (3F 金葉の間)

座長:高畑暁子(京都府立医科大学 放射線診断治療学)

[P-2-091] CA125上昇を伴う卵巣嚢胞性疾患の鑑別における拡散強調画像によるADCパラメータ(平均、最大、最小)の有用性

浪本智弘1, 中川雅貴1, 岐崎有紀2, 板谷遼3, 坂本史1, 尾田済太郎1, 山下康行1 (1.熊本大学医学部 放射線診断科, 2.熊本労災病院 放射線科, 3.水俣市立総合医療センター)

【目的】CA125の上昇【目的】CA125の上昇を伴う卵巣嚢胞性疾患の鑑別における拡散強調画像によるADCパラメータ(平均、最大、最小)とT1強調画像、T2強調画像とを比較し、有用性を評価する。【方法】対象はCA125の上昇を伴い、骨盤造影MRI検査にて卵巣由来の嚢胞性病変を指摘され、手術を施行された98症例(平均年齢41.2±15.3歳)を後方視的に検討した。最終診断は内膜症性嚢胞45症例、成熟嚢胞性奇形腫22症例、成熟嚢胞性奇形腫以外の良性腫瘍11症例、境界悪性腫瘍11症例、悪性腫瘍9症例であった。3T MRI装置を使用し, 拡散強調画像は呼吸同期EPI法を用い、 b値0, 800 s/mm2で撮影した。ADCmapにて嚢胞内にROIを設定し、平均ADC、最小ADC、最大ADCを測定した。また、嚢胞内のT1信号強度比(T1R)およびT2信号強度比(T2R)=(T1およびT2での嚢胞内の信号強度/骨格筋信号強度)を測定した。卵巣嚢胞性疾患について平均ADC、最大ADC、最小ADCの各パラメータとT1RおよびT2RとをKruskal-Wallis検定を用いて比較を行った。【結果】ADC(x 10-3 mm2/s)各パラメータでは平均ADC 内膜症性嚢胞1.36、成熟嚢胞性奇形腫1.27、良性腫瘍2.72、境界悪性腫瘍2.58、悪性腫瘍2.30; 最大ADC 内膜症性嚢胞1.55、成熟嚢胞性奇形腫2.33、良性腫瘍2.91、境界悪性腫瘍2.87、悪性腫瘍2.63; 最小ADC 内膜症性嚢胞1.36、成熟嚢胞性奇形腫1.27、良性腫瘍2.72、境界悪性腫瘍2.58、悪性腫瘍2.30; 最小ADC 内膜症性嚢胞1.16、成熟嚢胞性奇形腫1.11、良性腫瘍2.54、境界悪性腫瘍2.32、悪性腫瘍1.95であった。全てのADCパラメータにおいて内膜症性嚢胞は奇形腫以外の病変と比べて有意に低値となり、奇形腫は良性腫瘍や境界悪性腫瘍より低値となった。最小ADCのみ悪性腫瘍が良性腫瘍と比べて有意に低値となった。これに対しT1Rにおいては、内膜症性嚢胞と良性、境界悪性、悪性腫瘍の鑑別および奇形腫と境界悪性腫瘍の鑑別において有意であった。T2Rにおいては、内膜症性嚢胞と成熟嚢胞性奇形腫および良性腫瘍の鑑別において有意であった。【結論】CA125の上昇を伴う卵巣嚢胞性疾患の鑑別において、嚢胞内のADC各パラメータ(平均、最大、最小)は付加的情報を与えることができた。