[P-2-190] 確率的推論による脳画像の自動ラベリング手法の検討
【目的】MRI画像を用いた診断が普及するに従い、画像から患者の特徴を自動的に見つけ出し医師による診断を支援する技術が求められている。脳は解剖学的に領域ごとに異なる機能を有することが知られており、画像が持つ特徴の統計的性質及びそこからのズレから特定の疾患の有無を検出する技術の創成も期待できる。本研究では試験的研究として、解剖学的ラベル付けという基本的問題に対して統計的機械学習を駆使した確率的推論による自動的に行う。【方法】構造的特徴毎に計算される平均値から脳の各領域が持つ特有の性質、分散値からその領域毎の個人差の程度を見積もる。これらの平均と分散だけでなく、隣接ボクセル間のラベルの関係性を考慮した確率モデルの各種パラメータに対して、事前に解剖学的ラベル付け済みの多くのデータを用いた疑似最尤法による学習を行う。その結果を用いて新たな被験者の脳の解剖学的ラベル付けを自動的に行う。そのラベル付けは信念伝搬法による高速計算手法を利用した。 【結果】左図がテスト用画像の正解のラベル、右図が本研究における結果である。利用する構造的特徴及び、学習に利用したデータ数が非常に少ない(20人分のFA値とTraceのみ)ものの、良好な結果を見せている。 【結論】本研究は、確率的情報推論により解剖学的ラベル付けを自動化する手法を提案した。使用するデータ数と構造的特徴を多くすることで精度が飛躍的に向上することが期待できる。