第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

ポスター

肝臓-拡散/造影剤

肝臓-拡散/造影剤

2014年9月20日(土) 09:30 〜 10:12 ポスター会場 (3F 栄華の間)

座長:藤永康成(信州大学附属病院 放射線部)

[P-3-199] Gd-EOB-DTPA検査の転移性肝腫瘍検出能の評価:Systematic Reviewの手法による造影MDCT検査との比較

岩田邦弘1, 森谷俊春1, 谷川琢海2, 小笠原克彦3 (1.旭川医科大学病院 診療技術部放射線技術部門, 2.旭川医科大学病院 経営企画部, 3.北海道大学大学院保健科学研究院)

【背景・目的】Gd-EOB-DTPAを用いたMRI検査(EOB-MRI)は既存の造影剤を用いたMRI検査や他の検査モダリティに比べ転移性肝腫瘍の検出力向上をもたらすと考えられるが、過去の報告は単一施設における少数症例を対象とした研究を基にしたものが多い。そこでEOB-MRIの転移性肝腫瘍検出能に関して、統計学的検出力の向上とエフェクトサイズの改善に考慮した評価を行うため、Systematic Review(SR)の手法を用いての現状評価を試み、現在転移検索に広く用いられているmultidetector-row CTを用いた造影検査(CE-MDCT)の転移性肝腫瘍検出能とを比較した。【方法】文献検索にはMEDLINE、Cochrane Library、医中誌Webを用いた。検索に設定した期間は2000年1月から2013年8月までとした。対象は「同一の被験者群でEOB-MRIとCE-MDCTの転移性肝腫瘍検出能(感度)を per-lesion basisで比較している論文」とした。また、あらかじめ論文選択のための「適格基準」を設定し、それに従い解析に加える論文の選択を行った。選択された論文から感度に関するデータを抽出した後それぞれ統合し、統合された感度(統合値)の比較を行った。また統合値を他のモダリティにおけるSRを用いた先行研究で報告された転移性肝腫瘍検出能とも比較した。【結果・考察】データベース検索から154編の論文が候補となったが、適格基準を満たし解析対象となったものは7編であった。EOB-MRIおよびCE-MDCTの感度統合値はそれぞれ0.95(95%信頼区間:0.93-0.97)、0.74(同:0.70-0.77)となり、有意にEOB-MRIの方が高かった。また先行研究における他のモダリティとの比較においてもEOB-MRIの感度はそれらと同等以上であり、転移性肝腫瘍の検出に関し同検査の優位性を示唆する過去の報告を支持するものとなった。これらの結果はEOB-MRIの有用性を支持するエビデンスの一つとして意義が有るものと考えられる。