第42回日本磁気共鳴医学会大会

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シンポジウム

シンポジウム4

拡散強調MRIで何が見えるか-水透過性と灌流の可視化-

Fri. Sep 19, 2014 1:40 PM - 5:20 PM 第1会場 (5F 古今の間北・中)

座長:押尾晃一(慶應義塾大学医学部 放射線診断科), 小畠隆行(放射線医学総合研究所 重粒子医科学センター)

[S4-1] 拡散MRIデータのガンマ分布モデルによる解釈

押尾晃一 (慶應義塾大学医学部 放射線診断科)

【ガンマ分布モデル】
生体のnon-gaussian diffusionの解釈として様々なモデルが提案されているが、実際の組織学的な所見との関連がわかりにくいことが多い。この中でいわゆるstatistical modelはADCが連続して分布することを仮定するため、制限拡散や灌流を含む組織の実態を表現しやすい。昨年の大会で分布の形としてこれまで提案されていた正規分布よりも実際の生体の状態に近いと考えられる ガンマ分布を用いたモデルを提案した。
ガンマ分布はρ(D) = A Dk-1exp(-D/θ)で定義される。ただしAは標準化定数。ADCがこの分布に従う時、MR信号はS(b) = PD / (1+θb)kとなる。従来法と同様にb値を変えて数点信号を計測し、カーブフィッティングによりPD、k、θを求める。
【IVIMとの関係】
IVIMは基本的には2コンパートメントモデルで、ADCの大きい方の成分を灌流と見なすものである。これはまたADCの分布の形を仮定するstatistical modelの一種とみることも可能で、2つの鋭いピークを持った分布に相当する。
【水透過性との関係】
近年生体組織でのADCの低下は主に制限拡散によるというのがコンセンサスになりつつある。ガンマ分布モデルもこの考え方に基づいているが、水分子がある程度細胞膜を通過できる状態でのADC低下の定量的な解析が今後の課題と考える。