Riabilitazione Neurocognitiva 2023

Presentation information

一般演題

ポスター発表

[P3] 神経系(下肢・体幹)

[P3-17] 脳卒中片麻痺患者のぶん回し歩行の改善に向けた介入経験

*甲斐 康之朗1、坂本 隆徳1 (1. 医療法人紅萌会 福山記念病院)

【はじめに】
 ぶん回し歩行を認めた脳卒中右片麻痺症例に対し、麻痺側立脚期における足底圧と関節位置覚の関係性に着目して介入し、一部改善を認めたが残存した症例を経験したため報告する。

【症例紹介】
 左大脳基底核の脳梗塞により右不全片麻痺を呈した70歳代男性。発症後75病日時点で下肢BrsⅣであり、下肢表在・深部感覚は軽度鈍麻を認めた。歩行速度は0.27m/秒であり、非麻痺側の歩幅は14.0cmであった。

【外部観察と内部観察】
 ぶん回し歩行を呈し、全歩行周期に足関節内反と足趾の握り込みが出現していた。麻痺側足底の荷重は外側へ偏位し、立脚中期に膝関節伸展パターンを認めた。運動覚は正常であったが、足関節内反位を中間位と認識し、股関節屈曲位を中間位と認識していた。しかし足底の圧情報や他関節との位置関係を問うと修正が可能であった。

【病態解釈】
 足関節内反位を中間位と誤認したことで足関節内反位で床と接触し、荷重が外側へ偏位した結果、ぶん回し歩行となったと考えた。さらに、股関節屈曲位を中間位と誤認したことで股関節伸展角度が減少し、蹴り出しが不十分となり、ぶん回し歩行を助長していると考えた。

【介入】
足関節と股関節位置覚の誤認と、歩行中の足底圧との関係性が改善すれば、ぶん回し 歩行が改善すると考えた。麻痺側股関節伸展位で足底に単軸側方不安定板を設置し、変化した足関節角度に対する蹴り出しの方向を問う課題を実施した。加えて、非麻痺側下肢ステップ時に麻痺側膝関節前面と骨盤でスポンジの硬度を識別する課題を1度につき20分行い、4週間実施した。

【結果】
 足関節内反位と股関節屈曲位を中間位と回答することはなくなり、足関節内反位での床との接触と荷重の外側偏位は軽減した。歩行速度は0.32m/秒、非麻痺側の歩幅は20.3cmとなり、ぶん回し歩行は一部改善したが、残存を認めた。

【考察】
 足関節内反位と股関節屈曲位の誤認が改善したため、外側へ偏位した荷重が内側へ拡大し、ぶん回し歩行の軽減と歩幅と歩行速度の改善につながったと考える。一方で、ぶん回し歩行が残存した背景には、課題が不十分であった可能性が考えられる。症例は前額面において骨盤移動を伴う重心移動が不十分で、今回の課題では考慮されていない。また、立位を中心にした課題を実施しており、難易度が高かった可能性も考えられる。

【倫理的配慮】
 本発表に際し、書面にて説明と同意を得た。