Riabilitazione Neurocognitiva 2023

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一般演題

ポスター発表

[P6] 運動器系

[P6-02] 起立動作時に上肢依存が強い頸椎後縦靱帯骨化症症例への介入報告

*中谷 明賢1、林 節也2、菅沼 惇一3、田口 周司4、岩崎 拓也5 (1. シンシア高山デイサービス、2. サンビレッジ国際医療福祉専門学校、3. 中部学院大学看護リハビリテーション学部理学療法学科、4. 介護老人保健施設山県グリーンポート リハビリテーション科、5. 大垣徳洲会病院リハビリテーション科)

【はじめに】
 臨床において,起立動作時に上肢依存が強い症例は少なくない.渡邉ら(2013)は,姿勢制御における上肢支持は負の効果をもたらすと報告している.今回,起立動作時に上肢依存が強い後縦靱帯骨化症症例(以下,OPLL)に対して,足底の触圧覚情報に焦点を当てて介入し,改善がみられたため報告する.

【症例】
 対象はOPLLにて除圧術を施行した80代女性.起立動作は一部介助レベルで,上肢で歩行器を引きつけて起立する傾向が強く,第一相で,前方への重心移動(体幹・骨盤の前傾)が可能であれば起立が可能となるも失敗の頻度が多かった(成功率1/5).失敗経験の内省として,「立てなかった」と行為の結果のみの記述であり,自己姿勢や動作方法の想起が困難であった.評価項目として認知機能はMMSE19/30点.身体機能は,足底の触圧覚が10点法にてR6/10,L8/10,疼痛は右膝から下腿にかけてNRS7/10と強く,10m歩行は28.35秒/43歩であった.BBS29/56点,FRTは座位は25.7㎝,立位は10.7㎝であった.

【病態解釈および介入】
 起立時に,視覚情報や歩行器のグリップへの注意が優位となり上肢の引き付けによる動作となると考えた.また足底の接触部位の知覚が不十分であり,離臀のタイミングが分からず後方重心になると考えた.よって足底の接触部位の知覚課題,座位で骨盤を動かした時の足底圧の変化を知覚し,足底のどの部分に荷重して離殿すれば立ち上がれるかイメージ課題を実施した.介入は5週で合計7回実施した.

【結果】
 起立動作時に骨盤の前傾による体重移動が生じ,動作の成功率が改善(成功率3/5)した.起立動作に失敗した時には「足に体重がかかっていなかった」と記述され,動作のエラーに対しての原因に気づきが見られた.

【考察】
 起立動作時に,失敗の原因を認識することが困難だったが,足底圧や骨盤の位置・方向に注意を向けることで,動作のエラーの原因に気づき,成功率が向上した.足底に体重をかけることが動作に重要である事は認識されたが,体重移動の仕方が学習できていない為,継続した動作方法の学習が必要と考える.本症例を経験することで,歩行補助具使用者の志向性を確認し,体性感覚情報を構築したうえで動作を遂行していくよう指導することの重要性が示唆された.

【倫理的配慮】
 発表にあたって紙面にて説明し同意を得た.