[CSP3-2] 急性症候性発作の診断と脳波
急性症候性発作とは、急性の中枢神経疾患と全身性疾患と時間的に密接に関連して起こる発作と定義される。原因には、脳血管障害、中枢神経感染症、自己免疫性脳炎、頭部外傷、頭蓋内手術後、脱髄性疾患、代謝性疾患、中毒、離脱、複合要因(その他の全身性疾患)が挙げられる。けいれん発作が起こることが多いが、重積状態になることもある。急性症候性発作の診断では、発作への初期対応ののち,病歴聴取、身体診察・神経学的診察を行い,血液検査,頭部画像、心電図、胸部X線、脳波検査、必要に応じて髄液検査などを施行する.急性症候性発作において脳波検査は、発作型(焦点性 vs 全般性)の判断、発作再発のリスクの判断、背景疾患の鑑別、脳機能・意識レベルの評価に有用である。新規発症の急性症候性発作患者の約2-3割では、初回脳波でてんかん性放電を認める。発作後24 - 48時間以内に施行した脳波でのてんかん性放電の検出が高く、なるべく早期の脳波検査が望ましい。背景疾患として、代謝性脳症の可能性がある場合には,脳波の基礎律動の徐波化、三相波/三相波様波形の有無を確認することが診断の参考になる。急性の脳血管障害、単純ヘルペス脳炎では、Lateralized periodic discharges(LPDs)を認めることがある。急性破壊性病変またはてんかん重積状態の可能性を示唆するが、周期性放電間に低振幅の速波/律動成分が混入するいわゆるPLEDs-Plusのほうがてんかん発作との関連を示唆すると考えられる。意識障害が持続する場合には、常に非けいれん性てんかん重積(NCSE)の可能性を考える必要がある。NCSEは脳卒中や外傷の急性期に認めるが、全身疾患の急性期にも認めることがある。脳波では、早い周波数(2.5Hz以上)の周期性放電(Periodic discharge)、進展を伴う脳波変化、律動性デルタ活動を認めることがある。早急な脳波検査の施行と、持続脳波モニタリングのように長時間の脳波記録が診断および病勢把握には有用である。持続脳波モニタリングが困難な場合もNCSEの可能性がある場合は繰り返しの通常脳波測定を行うことが肝要である。