[P14-15] 局在するextreme delta brushに類似した波形を呈した2例の臨床-神経生理学的検討
【症例】症例1は右卵巣未熟奇形腫に併発した抗n-methyl-d-aspartate(NMDA)受容体抗体脳炎の37歳女性.症状出現時の脳波で,右前中側頭部のrepetitive spike,右前頭極部,前側頭部に局在するextreme delta brush(EDB)様波形を認めた.腫瘍摘出と免疫学的治療により症状は改善した.症例2は30歳で発症し,難治性の強直間代発作と単純部分発作(失語,街並み失認)を呈した38歳男性.精査では髄液蛋白の軽度上昇(58.4 mg/dl)以外に特記すべき異常なく,抗NMDA受容体抗体を含め自己抗体は陰性であった.脳波で左前側頭部に局在する棘波,paroxysmal fastと同部位にEDB様波形を認めた.ステロイド加療を行うも治療1ヶ月で効果はなかった.【考察】局在するEDB様波形について,症例1は既報の抗NMDA受容体抗体脳炎を示唆するEDBの一亜型の可能性,症例2はEDB様波形の分布が棘波と一致しており,EDBはてんかん性放電の波形的亜型の一つである可能性が考えられた.