The 39th Annual Meeting of Japanese Society of Oral Oncology

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Mini Lecture

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ミニレクチャー

[ML-09] The risk factor of oral cancer ~Can we predict local recurrence and metastasis?~

〇Yu Koyama1 (1.Department of Oral Pathobiological Science and Surgery, Tokyo Dental College)

【略歴】
2014年3月 東京歯科大学 卒業
2014年4月~2016年3月 東京都立多摩総合医療センター ジュニアレジデント(歯科)
2016年4月 東京歯科大学 大学院歯学研究科(口腔病態外科学専攻) 入学
2016年9月~ 順天堂大学 病理・腫瘍学講座 協力員
2020年3月 東京歯科大学大学院研究科 修了 博士(歯学)の学位授与
2020年4月~ 東京歯科大学 口腔病態外科学講座 助教
現在に至る。
現在、primaryの口腔癌に対する治療法としては外科的切除あるいは放射線化学療法が選択されるが、局所再発を来たし制御に難渋するケースも多い。また、口腔癌に限らず全ての悪性腫瘍は現病死ではなく90%が全身転移により死に至ることから、口腔癌の制御に向けては多くの課題を有している。これらの課題を解決するために、転移癌細胞の特徴を捉えることを目的にliquid biopsy検体を用いた研究やcirculating tumor cell(CTC)およびCTCから採取したDNAを用いた遺伝子診断、研究が行われている。また、転移メカニズムに関して最もコンセンサスを得ているのはepithelial-mesenchymal transition(EMT)仮説であるが、上皮系の特徴を残したまま転移を来す様式について唱える研究者も存在し解明には至っていないうえに、転移巣のnicheにおいても様々な議論がなされている。また、再発予測因子の探索も積極的に行われており、薬剤感受性の評価やオーダーメイド治療の実現のために従来の細胞株を用いた実験方法のほかに患者由来検体を直接マウスに移植するpatient derived xenograft(PDX)モデルを応用した研究も頭頸部領域で散見される。このように様々な施設が臨床的、基礎的に様々なアプローチで局所再発、転移メカニズムの解明および早期に検出するバイオマーカーの探索を行っているものの、広く臨床応用されているマーカーは未だに確立されていない。私達は大腸癌PDXモデルを用いた転移に関する研究を行い、上皮系癌細胞と上皮性質を残し間葉転換した癌細胞のクラスターが転移形成に必須であることを見出した。また、腫瘍間質に多く含まれる癌関連線維芽細胞(cancer-associated fibroblasts; CAFs)が有する腫瘍促進機構について研究し、腫瘍促進性CAFsのサブタイプについての研究を行ってきた。本ミニレクチャーでは「口腔がんのリスクファクター 局所再発や遠隔転移を予測できるか」と題し、これまでに各研究者により明らかにされてきたこと、そして現在までに解明されていない今後の課題に関する最新の事項を最近の研究成果も交えて紹介する。