第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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3.悪性腫瘍・補助療法

[P03-12] 口腔病変により発見された神経内分泌小細胞癌の1例

〇杉浦 圭1、大澤 孝行1 (1.横浜市立市民病院)


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神経内分泌癌は、一般に悪性度は高く、肺や消化管に好発する。今回われわれは口腔病変により発見された肺神経内分泌小細胞癌の1例を経験したので報告する。
患者は77歳男性。右側下顎歯肉部の無痛性腫瘤を主訴に当科を受診した。2020年3月頃より同部の違和感を自覚、その後腫脹を認めたため近医歯科を受診した。歯周炎の診断のもと加療されたが、腫瘤の増大傾向を呈し、当科紹介初診となった。初診時、右側下顎6相当頬舌側歯肉に30mm大、弾性やや軟な無痛性腫瘤を認めた。パノラマX線写真では歯根周囲の骨吸収像を認め、歯周組織炎等化膿性病変との鑑別も要した。生検を施行し、小細胞性神経内分泌癌との診断を得た。腫瘍マーカーではCEA9.43ng/ml、ProGRP98.7pg/ml、NSE88.2ng/mlと高値を呈し、PET―CTでは口腔以外に肺、肝、縦隔リンパ節、脳、副腎、皮下、多発骨転移を認めた。最大病変は肺でありまた好発臓器でもあるため肺原発の多発転移の神経内分泌癌と診断し、呼吸器内科(腫瘍内科)転科となった。
治療は、ステージⅣBの診断で全身化学療法(エトポシド+カルボプラチン+アテゾリズマブ)が適応された。
口腔に神経内分泌癌が認められることは比較的稀であり、免疫チェックポイント阻害剤を用いた加療経験を得たので若干の知見を交え報告する予定である。