第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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3.悪性腫瘍・補助療法

[P03-25] 腫瘍溶解ウィルスを用いたOSCCの放射線耐性克服と新規治療開発に関する研究

〇郷原 俊輔1、吉田 遼司1、川口 翔1、永尾 優果1、山名 啓介1、竹下 尚志1、永田 将士1、廣末 晃之1、川原 健太1、福間 大喜1、中山 秀樹1 (1.熊本大学大学院 生命科学研究部 歯科口腔外科学講座)


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背景:近年、低い副作用と高い抗腫瘍効果を有する腫瘍溶解ウィルスに注目が集まっている。今回我々は、腫瘍溶解ウィルス(テロメライシン;OBP-301)を用いた口腔扁平上皮癌(OSCC)の新規治療法開発に関する研究を行った。

方法:OSCC細胞株におけるhTERT、CAR(OBP-301の治療標的分子)の発現を確認した。機能解析として、OSCC細胞に対するOBP-301の単独及び放射線併用での抗腫瘍効果を評価し、放射線増感効果の分子機構、併用療法で増加する細胞死に関して網羅的解析を行った。また、治療実験として、異種移植マウスモデル、PDXモデルを用いて生体内でのOBP-301の抗腫瘍効果を評価した。

結果:OSCC細胞株においてhTERT、CARの発現を認めた。OBP-301の投与により、OSCC細胞株(放射線耐性株を含む)はいずれも濃度依存的に増殖活性が低下し、OBP-301併用放射線照射により有意に抗腫瘍効果が高くなった。また、OBP-301を投与した細胞株ではp-STAT3とその下流分子の発現が低下した。各種アッセイにて、OBP-301の投与により、アポトーシスとオートファジーによる細胞死が誘導されることを確認した。治療実験においても、OBP-301併用放射線療法群は放射線単独群に比べて有意な腫瘍縮小効果を得た。

考察:in vitro、vivoの解析から、OBP-301は放射線照射単独に対する相乗ないし相加効果を発揮し、OBP-301併用放射線療法が有望な治療選択肢となり得ることが示唆された。また、その分子機構にはSTAT3を介したアポトーシスおよびオートファジー制御が寄与している可能性が示唆された。