[I-O-18] 心尖部-上下大静脈同側症例におけるFontan手術~導管通路の検討~
Keywords:Fontan手術, apicocaval juxtaposition, TCPC
【背景】apicocaval juxtapositionに対するFontan手術は、IVC-reroutingの位置の選択により、体静脈通路の圧迫・屈曲、PVO、心内構造の変形、遠隔期のPAVF発生等が懸念される。特に心尖部-SIVC同側症例は最終的な導管経路の選択に悩む症例が多い。当院では上記懸念の回避に留意し、左右肺血流バランスを重視した心内導管型TCPC(以下IC-TCPC)を基本術式としてきたが、様々な理由から心外導管型TCPC(以下EC-TCPC)を選択した症例も存在する。【目的】本群をIC-TCPC群(以下IC群)及びEC-TCPC群(以下EC群)に分類、手術成績を後方視的に検討し、導管経路について考察する。【対象】2000年以降、心尖部とSIVCが全て同側でFontan手術を施行症例17例中、TCPC conversion1例・フォロー不能1例を除く15例。【結果1】IC群:10(cTGA:5、SRV:2、Asplenia:1、Polysplenia:1、TGA3:1)、EC群:5(CCH:3、SRV:1、Asplenia:1)。EC群における導管経路は心尖部と対側:3、同側:2。EC-TCPC選択理由(重複あり)は、剥離により可能と判断:3、狭小な心房:2、PVOの懸念:2、房室弁変形や逆流の懸念:1。【結果2】術後心臓カテーテル検査において、CVP:IC群12.0±2.6/EC群9.6±1.2(P=0.03)は統計学的有意差をもってEC群の方が低かったが、SaO2:IC群94.9±1.4/EC群93.4±3.1、Rp:IC群1.5±0.8/EC群1.2±0.3、CI:IC群3.5±0.6/EC群3.9±0.5、EDP:IC群6.4±1.8/EC群6.2±2.6、いずれも統計学的有意差認めず、同等だった。f/u期間5.2±2.7年において、IC群・EC群とも死亡0、再手術0。TCPC以前にPMI施行したpolysplenia症例を除く14例全例で洞調律を維持、PVO:0、PAVF:0。【まとめ】心尖部-SIVC同側例におけるFontan手術は一概に導管経路を選択することは困難だが、症例ごとに適切な経路を選択すれば、良好なFontan循環が維持出来ていた。症例数が少なく、f/u期間も短いため、今後も同群に慎重なフォローを継続していくことが肝要である。