[I-P-095] 慢性肺疾患を合併した左右短絡疾患児の経過
Keywords:慢性肺疾患, 左右短絡疾患, 肺高血圧
【背景】新生児医療の進歩に伴い超早産児生存率改善の一方で慢性肺疾患(CLD)は増加している。左右短絡疾患は肺血流増加により肺血管病変や呼吸状態を増悪させる要因となる。また、左右短絡疾患にCLDを合併した場合、重度の肺高血圧(PH)を呈し治療方針に苦慮することが多い。【症例】1) ASD: 26週3日、634gで出生。生後7ヵ月気管支炎罹患時に、ASD, 重度PHと診断され、在宅酸素療法(HOT)、シルデナフィル内服開始。その後PHの改善を認め、3歳HOT、シルデナフィル中止。心カテ：Qp/Qs=4.58, Rp=1.18で、心内修復術を施行した。2) 21 trisomy, VSD, ASD: 27週3日、753gで出生。日齢19動脈管結紮術、日齢188肺動脈絞扼術施行。HOTを導入し退院。1歳0ヵ月シルデナフィル内服開始。1歳7ヵ月心カテ：Qp/Qs=1.0, Rp=9.88であったが、その後PH改善し、4歳シルデナフィル中止。現在4歳で心内修復術を検討中。3) ASD: 23週2日、672gで出生。日齢232にNICU退院したが、入院中は心疾患の指摘なかった。1歳0ヵ月心拡大を指摘され、ASD, 重度PHと診断された。1歳2ヵ月心カテ：Qp/Qs=1.15, Rp=10.43であった。その後内科的治療にてPHの改善を認め、ASD短絡量も減少し外科的介入の適応なしと判断した。4) 21 trisomy, complete AVSD: 29週0日、1175gで出生。日齢92 動脈管結紮術、肺動脈絞扼術施行。HOTを導入し退院。現在2歳でPH改善を認め、心内修復術を検討中。【考案】左右短絡疾患にCLDを合併すると、呼吸障害や肺血管病変による重度PHを呈することが多いが、適切な時期に外科的介入や内科的治療を行うことで、PHや呼吸状態が改善し予後改善を期待できることが示唆された。