[II-P-099] フォンタン循環におけるリンパマッサージの急性期効果と循環動態変化
キーワード:Fontan, リンパ鬱滞, リンパマッサージ
【背景】Fontan術後の高い中心静脈圧(CVP)はリンパの鬱滞を惹起し,リンパ浮腫やリンパ漏,酸化ストレスや炎症性サイトカインの活性化からFailing Fontanの病態に関与しうる.実際に我々は近赤外線カメラによる下肢のリンパ管投影にてリンパの鬱滞を呈するFontan患者が多数存在することを報告した.従って,リンパ鬱滞を改善するリンパマッサージはFailing Fontanの予防や治療の一つとなる可能性がある.しかし,リンパマッサージのFontan循環への影響は不明である.
【目的】Fontan循環におけるリンパマッサージによる急性期の効果と血行動態学的変化について検討する.
【方法】現在までに,説明と同意を得て,希望者にリンパマッサージを施行したFontan術後患者4名を対象とし,リンパマッサージ中に心拍数,血圧,心係数(CI),末梢静脈圧から算出したCVP,心拍変動解析を持続的にモニターし評価した.また,リンパマッサージ前後の血液量も比較検討した.
【結果】リンパマッサージ前後で,交感神経系の活動(LH/HF)は抑制され,心拍数は著明に減少(mean 95→85bpm)し,収縮期血圧,CIも低下した(各々100→97mmHg,3.0→2.7L/min/m2).リンパマッサージは循環血液量の増加をもたらした(92→112ml/kg,Ht 44.0→43.2%,Alb 7.0→6.9g/dl)が,CVPは上昇しなかった(各々14→14,10→8,9→10,14→11mmHg).
【考察】Fontan術後患者におけるリンパマッサージは,リンパの静脈への還流量増大に伴う体液量増加が,心拍数減少によるCI減少,静脈キャパシタンス増大により代償され,CVP上昇を伴わずに施行される安全な手技と思われる.従って,リンパマッサージはリンパ鬱滞の改善という直接効果に加え,交感神経抑制効果による心拍数減少,静脈キャパシタンスの増大(静脈機能改善)によりFontan術後患者の予後改善に寄与しうる非薬物療法としての可能性が示唆され,今後長期効果を含めた検討に値すると思われた.
【目的】Fontan循環におけるリンパマッサージによる急性期の効果と血行動態学的変化について検討する.
【方法】現在までに,説明と同意を得て,希望者にリンパマッサージを施行したFontan術後患者4名を対象とし,リンパマッサージ中に心拍数,血圧,心係数(CI),末梢静脈圧から算出したCVP,心拍変動解析を持続的にモニターし評価した.また,リンパマッサージ前後の血液量も比較検討した.
【結果】リンパマッサージ前後で,交感神経系の活動(LH/HF)は抑制され,心拍数は著明に減少(mean 95→85bpm)し,収縮期血圧,CIも低下した(各々100→97mmHg,3.0→2.7L/min/m2).リンパマッサージは循環血液量の増加をもたらした(92→112ml/kg,Ht 44.0→43.2%,Alb 7.0→6.9g/dl)が,CVPは上昇しなかった(各々14→14,10→8,9→10,14→11mmHg).
【考察】Fontan術後患者におけるリンパマッサージは,リンパの静脈への還流量増大に伴う体液量増加が,心拍数減少によるCI減少,静脈キャパシタンス増大により代償され,CVP上昇を伴わずに施行される安全な手技と思われる.従って,リンパマッサージはリンパ鬱滞の改善という直接効果に加え,交感神経抑制効果による心拍数減少,静脈キャパシタンスの増大(静脈機能改善)によりFontan術後患者の予後改善に寄与しうる非薬物療法としての可能性が示唆され,今後長期効果を含めた検討に値すると思われた.