[II-P-154] 当院での小児急性心筋炎に対する経皮的心肺補助法の適応
キーワード:心筋炎, 経皮的心肺補助法, 適応
【背景】急性心筋炎の一部は、急激に心肺危機に陥り経皮的心肺補助法(PCPS)を必要とする心筋炎に移行する。しかし、小児急性心筋炎に対するPCPSの適応基準は明確でない。
【目的・方法】目的は、小児急性心筋炎に対するPCPSの適応を検討すること。1996年から2014年までに当院へ搬送され、急性心筋炎と診断された6例を後方視的に検討した。
【結果】6例のうちPCPS施行例(PCPS群)は3例、PCPSを必要としなかった例(非PCPS群)は3例であった。
PCPS群:年齢0~12歳、男女比2:1、入院時のLVEFは15~30%であった。PCPS施行前に、全例で低血圧性ショックのため強心剤が投与されていた。心停止または薬剤抵抗性心室性不整脈が出現したためPCPS装着に至った。PCPS装着時には、全例が呼吸不全・肝不全・腎不全・DICの多臓器不全の状態であり、代謝性アシドーシス(pH6.7~7.1)に陥っていた。Pediatric Index of Mortality 2での予測死亡率は69.8~89.6%、当院入院からPCPS装着までの時間は14分から14時間(中央値2時間)であった。
非PCPS群:年齢0~12歳、男女比2:1、入院時LVEFは40~79%であった。2例で心室性不整脈が出現したが1例はショック症状がなく、1例はLVEF40%で強心剤投与により低血圧性ショックから回復したため、PCPS装着は回避できた。全例で多臓器不全・代謝性アシドーシスは出現しなかった。予測死亡率は6.7~14.7%で、PCPS群に比して低値であった。PCPS群・非PCPS群とも全例が生存退院し、現在まで神経学的予後は良好である。PCPS群の1例で、下肢阻血による運動障害を生じた。
【まとめ】心機能低下や心室性不整脈出現例でも、薬剤投与で血圧が維持できた症例ではPCPS装着を回避できた。小児急性心筋炎は、低血圧性ショックとそれに伴う多臓器不全・アシドーシスを生じた場合にPCPSの適応となると考えられた。
【目的・方法】目的は、小児急性心筋炎に対するPCPSの適応を検討すること。1996年から2014年までに当院へ搬送され、急性心筋炎と診断された6例を後方視的に検討した。
【結果】6例のうちPCPS施行例(PCPS群)は3例、PCPSを必要としなかった例(非PCPS群)は3例であった。
PCPS群:年齢0~12歳、男女比2:1、入院時のLVEFは15~30%であった。PCPS施行前に、全例で低血圧性ショックのため強心剤が投与されていた。心停止または薬剤抵抗性心室性不整脈が出現したためPCPS装着に至った。PCPS装着時には、全例が呼吸不全・肝不全・腎不全・DICの多臓器不全の状態であり、代謝性アシドーシス(pH6.7~7.1)に陥っていた。Pediatric Index of Mortality 2での予測死亡率は69.8~89.6%、当院入院からPCPS装着までの時間は14分から14時間(中央値2時間)であった。
非PCPS群:年齢0~12歳、男女比2:1、入院時LVEFは40~79%であった。2例で心室性不整脈が出現したが1例はショック症状がなく、1例はLVEF40%で強心剤投与により低血圧性ショックから回復したため、PCPS装着は回避できた。全例で多臓器不全・代謝性アシドーシスは出現しなかった。予測死亡率は6.7~14.7%で、PCPS群に比して低値であった。PCPS群・非PCPS群とも全例が生存退院し、現在まで神経学的予後は良好である。PCPS群の1例で、下肢阻血による運動障害を生じた。
【まとめ】心機能低下や心室性不整脈出現例でも、薬剤投与で血圧が維持できた症例ではPCPS装着を回避できた。小児急性心筋炎は、低血圧性ショックとそれに伴う多臓器不全・アシドーシスを生じた場合にPCPSの適応となると考えられた。