第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム14
成人先天性疾患に対するカテーテル治療

2015年7月17日(金) 14:40 〜 16:35 第3会場 (1F ペガサス C)

座長:
原 英彦 (東邦大学医療センター大橋病院)
富田 英 (昭和大学横浜市北部病院)

II-S14-01~II-S14-07

[II-S14-03] 成人先天性疾患に対するカテーテル治療 -動静脈瘻-

杉山 央, 石井 徹子, 清水 美妃子, 稲井 慶, 篠原 徳子, 富松 宏文, 中西 敏雄 (東京女子医科大学 循環器小児科)

キーワード:肺動静脈, 冠動脈, カテーテル治療

はじめに:近年、複数の塞栓デバイスの導入により成人先天性疾患における動静脈瘻(肺動静脈瘻および冠動脈瘻)に対してカテーテル治療ができるようになった。当院における成人領域に対する動静脈瘻のカテーテル治療について後方視的に検討した。対象:過去10年間(2005/1-2014/12)で18歳以上カテーテル治療を試みた肺動静脈瘻7例(20-66歳 中央値48歳)、冠動脈瘻12例(20-78歳 中央値44歳)。結果:肺動静脈瘻は遺伝性出血性末梢血管拡張症の合併が2例、左側相同・下大静脈欠損に伴うものが1例であった。肺動静脈瘻の発生部位は右肺3例、左肺3例、両肺1例であった。塞栓デバイスはコイル4例、バスキュラー・プラグ4例(1例はコイル併用)であった。動脈血酸素飽和度は塞栓前87±11%から塞栓後93±7%に上昇した。全例で塞栓に成功し合併症なはなかった。冠動脈瘻の起始部位は右冠動脈3例、左冠動脈3例、両冠動脈6例。ドレナージ部位は右房1例、右室4例、肺動脈6例であった。全例でコイルによる塞栓を試み、9例で成功(82%)、2例でマイクロカテーテルの挿入が困難で断念した。合併症はコイルの脱落が1例、血栓による脳梗塞が1例であった。治療後に心電図上ST変化や心筋逸脱酵素の上昇がみられた例はなかった。まとめ:肺動静脈瘻および冠動脈瘻に対して初期にはFlipperコイルを用いることがあったが、近年多種類のデタチャブル・コイルおよびバスキュラー・プラグが導入され、さらにマイクロバルーンによる試験閉鎖、ガイディングカテーテル使用によるtelescopic catheter systemなどの手技により安全で効果的な治療が可能になってきている。しかし、冠動脈瘻はその多様性からマイクロカテーテルが病変に到達困難な例があり、合併症の頻度も高く難易度が高い病変であることは変わりない。術前に3DCT等を施行して、病変形態に合わせた綿密な治療戦略を立てる必要がある。