[III-P-072] Fontan患者の日常における活動性の特徴
Keywords:Fontan, カロリー消費量, 運動強度
【背景】Fontan患者は静脈適応による血行動態の維持という特性により、身体活動に伴ないCVPが容易に上昇しやすいため、日常生活様式がその予後に大きな影響を及ぼしている可能性がある。そのためFontan患者の日常の活動性を把握することは非常に重要であると思われる。【目的】Fontan患者の日常の活動カロリー消費量(activity energy expenditure:AEE)を測定し活動性の特徴を明らかにする。【方法】Fontan患者24人(3.8-14.8歳、平均8.9歳)を対象に高精度携帯式行動量測定計を2週間持続装着し、AEEを算出した。また、調査結果を知らない主治医が、外来診察時のデータや問診から患者の日常における活動性を4段階に評価した数値と実測定AEEとを比較することで主観との誤差を検証した。【結果】Fontan患者のAEEは4.4から18.1kcal/kg(平均11.3kcal/kg)と幅広い範囲を示し、主治医の予測スコアとは総じて良い相関を示したが(r=0.66, p<0.001)、予測から大きく外れる症例が多くみられた(SEE=3.1Kcal)。PLE患者3例中、幼児期発症若年2例(7.1歳)では、AEEは予想外に高値を示したのに対し(14.4 kcal/kg)、発症後5年以上経過した12歳年長児ではAEEは低値(8.2 kcal/kg)であり、PLE発症に活動量過多が関与している可能性を示唆した。さらに、多変量解析にて、AEE高値はCVPと独立して肝うっ血を反映するγGTPの上昇の75%を説明した。 【結論】日常の活動量に関する情報は、カテーテル検査を含めた現行の検査診察所見では測り知れない情報を提供してくれる可能性があり、今後客観的データに基づくFontan患者予後改善のための生活指針の確立に重要な役割を演じる可能性が示唆された。