The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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パネルディスカッション

パネルディスカッション7(I-PD07)
小児循環器領域の集中治療

Wed. Jul 6, 2016 4:45 PM - 6:15 PM 第E会場 (シンシア ノース)

座長:
黒嵜 健一(国立循環器病研究センター 小児循環器集中治療室)
大崎 真樹(静岡県立こども病院 循環器集中治療科)

I-PD07-01~I-PD07-04

4:45 PM - 6:15 PM

[I-PD07-03] NICU医療から学ぶ、集中治療への示唆

増谷 聡, 川崎 秀徳, 簗 明子, 桑田 聖子, 栗嶋 クララ, 岩本 洋一, 石戸 博隆, 先崎 秀明 (埼玉医科大学総合医療センター 小児循環器科)

小児循環器医療は近年著しく発展した。一方、平行して新生児医療も目を見張る向上があり、日本の成績は世界をリードする。歴史的に新生児医療は未熟性・成育限界ぎりぎりのところで、発達予後を見据えた管理を長く模索してきており、我々小児循環器科医が学ぶところは多い。
新生児医療の現場・NICUで、新生児科と協同する主な疾患は、先天性心疾患や未熟児動脈管開存症(PDA)である。殊に先天性心疾患が早産や新生児疾患を伴って出生する場合、新生児医療の発展の恩恵はきわめて大きい。
たとえば先天性心疾患児が超早産で、重症慢性肺疾患(CLD)・重症肺高血圧(PH)を伴って出生したら、長期計画はどうしたらよいだろうか?成人あるいは小児CHD・PHにはTreat and repairという戦略がある。しかし新生児でCLDが基礎にあると、CLDが改善しないとPHは改善しない。CLDの数少ないrepairing processの一つが十分な栄養である。新生児医療では十分な発育を促す早期よりの栄養強化戦略が予後を改善することが確立されている。集中治療の中でもこれらを成就する新生児管理は本病態の加療に大切である。重症CLD・PHで多量の右左短絡を伴う超低出生体重児の流出路large VSDで外科手術に到達した症例を取り上げつつ、こうした難治例への対処を論じたい。
皮膚は循環不全時に犠牲にされる臓器であり、循環不全初期を捉える皮膚血流のモニタリングが新生児領域で取り組まれている。また、早産児PDA評価法の向上を目的とした、新生児・小児循環器共同の多施設研究PLASE studyが進捗している。これら集中治療の介入タイミングの改善につながり得る取り組みについても触れたい。
本WSでは、我々小児循環器科医がNICU集中治療から学ぶべきさまざまな示唆を、新生児科医と協同して働く立場からまとめたい。