第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

染色体・遺伝子異常

一般口演1-02(II-OR102)
染色体・遺伝子異常

2016年7月7日(木) 13:00 〜 13:50 第B会場 (天空 センター)

座長:
上砂 光裕(日本医科大学 小児科)

II-OR102-01~II-OR102-05

13:00 〜 13:50

[II-OR102-04] 当院における13trisomy, 18trisomyの先天性心疾患に対する治療介入の現状。

都築 慶光1, 水野 将徳1, 長田 洋資1, 中野 茉莉恵1, 升森 智香子1, 後藤 建次郎1, 小野 裕國2, 近田 正英2, 麻生 健太郎1 (1.聖マリアンナ医科大学 小児科, 2.聖マリアンナ医科大学 心臓血管外科)

キーワード:染色体異常、手術介入、予後

【背景】新生児集中治療、心臓手術の発展に伴い、13trisomy(13T), 18trisomy(18T)に合併する先天性心疾患(CHD)への外科的治療介入が行われることも多くなった。しかし治療適応や効果に関しての一定の見解は得られていない。【目的】当院で経験した先天性心疾患を有する13T, 18T児の予後を後方視的に検討して外科的な治療介入のインパクトを明らかにする。【方法】2004- 2016 年に当院NICUに入院した心疾患を合併した13T, 18Tを対象とし、診療記録から外科治療の効果を検討した。【結果】13T:7名、18T:21名(モザイク1名)の入院があった。心合併症に対する手術介入群 7名、未介入群23名。出生体重中央値は1838g(803~2532g)。心疾患の内訳は心室中隔欠損(VSD)のみ9名、VSD・動脈管開存(PDA)6名、VSD・心房中隔欠損(ASD)2名、VSD・ASD・肺動脈狭窄(PS)1名、PDA・PS1名、Fallot四徴症2名、房室中隔欠損・PDA1名、完全大血管転位1名、大動脈縮窄・PDA1名、両大血管右室起始・PDA2名、単心室2名であった。行われた手術は全て姑息手術で13T 1名、18T 6名に施行されていた。手術の内訳は動脈管結紮が3名、肺動脈絞扼が1例、両者を施行した例が3名であった。2016年1月1日現在、生存症例は18T 1名(6か月)とモザイク18T1名(11か月)であった。死亡例の生存期間中央値は、治療介入群で443日(13~730日)、未介入群で94日(0~635日)であった。生存退院例は、介入群で2名(28.6%)、未介入群で8名(38.1%)であった。【考案】当院で経験した13T, 18Tの生命予後は外科治療介入により改善が認められるが、生存退院例の増加には結びついていなかった。積極的外科治療によりQOLが向上するとは言い難い結果が得られた。外科的治療介入の適応は治療介入が児や家族が最善の結果とはならない可能性を考慮し個々に検討する必要がある。