第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション1(II-PD01)
長期予後を見据えたFontan児童・生徒の運動・学校・日常生活管理

2016年7月7日(木) 15:10 〜 16:40 第A会場 (天空 A)

座長:
大内 秀雄(国立循環器病研究センター 小児循環器科)
先崎 秀明(埼玉医科大学総合医療センター 小児循環器科)

II-PD01-01~II-PD01-04

15:10 〜 16:40

[II-PD01-02] 経時的運動負荷試験からの知見

大内 秀雄 (国立循環器病研究センター 小児循環器、成人先天性心疾患)

 運動が心肺機能を含め代謝や自律神経バランス等を含め生体維持機能の向上に重要である。成人の慢性心不全患者での運動療法の有用性が模索され、多くの運動療法の有益性を示す知見が蓄積されている。これらの背景から小児心疾患患者でもその運動療法の可能性が模索され、フォンタン患者での有用性を指摘する報告が増加している。これらの背景には心肺機能低下が悪い予後と関連している事実があり、心肺機能の総合的な指標である最高酸素摂取量(peak VO2)を代表とする運動能の改善がこれら疾患の予後改善に繋がると信じられていることにある。一方、フォンタン患者では小児から思春期に運動能が低下し、成人フォンタン患者の運動能は極めて低いにも拘らず自覚症状と解離していることから、これらの事実が予後悪化と関連していることが推察される。しかし、これまでにフォンタン患者での長期的経時的な運動能の推移の報告は極めて少なく、また経時的変化と予後との関連も不明である。最近のフォンタン手術年齢の低下や遠隔期での死因に非心臓死の頻度が少なくないことを考慮すると運動が心肺機能以外の多臓器に与える影響も考慮する必要がある。今回のシンポジウムでは長期経時的運動能の変化の臨床的意義を予後や非心肺臓器との関連から模索し、小児期の生活習慣の介入の意義について考察したい。