第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達2

ポスターセッション(P42)
術後遠隔期・合併症・発達2

2016年7月6日(水) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
髙木 純一(たかぎ小児科・心臓小児科 )

P42-01~P42-06

18:00 〜 19:00

[P42-02] チアノーゼ性先天性心疾患の経過中に腫瘍を合併した3症例

三原 聖子, 小垣 滋豊, 廣瀬 将樹, 馬殿 洋樹, 鳥越 史子, 髭野 亮太, 那波 伸敏, 石田 秀和, 成田 淳, 高橋 邦彦, 大薗 恵一 (大阪大学医学系研究科 小児科学)

キーワード:チアノーゼ性心疾患、腫瘍、神経内分泌腫瘍

【背景】近年チアノーゼ性先天性心疾患(CCHD)に神経内分泌腫瘍を合併した例の報告が散見され、両者の関連性が指摘されている。今回チアノーゼを伴う先天性心疾患の経過中に、褐色細胞腫その他の悪性腫瘍を合併した3症例を経験した。【症例】症例1:15歳女性、三尖弁閉鎖症Fontan術後。14歳時から間欠的に動悸や眩暈を訴え、自宅計測で一時的な高血圧(収縮期血圧140-160mmHg)を認めていた。安静時SpO290%、血圧120/62mmHg、脈拍82bpm。カテーテル検査で造影剤投与時に著明な血圧上昇を認めたのを契機に、精査の結果褐色細胞腫(副腎原発)と診断された。右副腎摘出術を施行。症例2:32歳男性、単心室、肺動脈閉鎖Glenn術後。安静時SpO274%、血圧125/83mmHg、脈拍68bpm。自覚症状なし。30歳時に鬱血肝の精査目的に行った腹部エコーで下大動脈背側に径3cmの境界明瞭な腫瘤を認め、神経原性腫瘍が疑われた。MRI、FDG PET-CTで多発性病変が判明。腫瘍増大傾向を認め、悪性傍神経節腫疑いで現在精査中。症例3:18歳女性、エプスタイン病Glenn 術後。安静時SpO272% 。右下顎の智歯抜歯時に隣接部に嚢胞性病変を認め、組織診断にて低悪性度粘表皮癌と診断。右下顎区域切除術・皮弁再建術を施行。【まとめ】3症例とも偶発的に腫瘍病変が発見され、自覚症状が乏しいか既存の心疾患に伴う症状と判別が困難であった。2症例は安全に外科治療を行うことが可能であり、再発なく経過している。【考察】持続する低酸素血症に伴う全身の臓器障害は知られているが、慢性的な低酸素環境と腫瘍細胞の発生増殖との関連性も指摘されている。特に神経内分泌腫瘍と慢性的低酸素との関連性は症例報告も散見され、遠隔期にチアノーゼが残存するCCHD患者においては、若年であっても腫瘍病変の存在を考えておく必要がある。粘表皮癌については明らかなCCHDとの関連の報告はないが、若年発症例であり、原疾患との関連についてさらなる検証が必要である。