The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

成人先天性心疾患2

ポスターセッション(P50)
成人先天性心疾患2

Wed. Jul 6, 2016 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
小出 昌秋(聖隷浜松病院 心臓血管外科)

P50-01~P50-05

6:00 PM - 7:00 PM

[P50-03] TCPC conversion後のfailed Fontanに関与するリスク因子の解析

豊川 富子, 高橋 邦彦, 廣瀬 将樹, 鳥越 史子, 髭野 亮太, 三原 聖子, 石田 秀和, 成田 淳, 小垣 滋豊, 大薗 恵一 (大阪大学大学院 医学系研究科 小児科学)

Keywords:Fontan手術、TCPC conversion、リスク因子解析

【背景】EC-TCPC以外のFontan術後患者の遠隔期における問題点として、心房拡大やそれに伴う上室性不整脈、心不全等があり、TCPC conversionが施行されることがあるが、その前後、及び遠隔期の臨床像についての報告はまだ少ない。【目的】TCPC conversion術前後における臨床像を明らかにし、conversion後も改善のない症例に対するリスク因子を検討する。【対象】当院でEC-TCPC以外のFontan手術を施行した24例のうち、conversion手術を行った13例。【方法】心不全、腹水またはPLEで入院を繰り返す例をFailed群(F群:6例)と定義し、後方視的にNon-failed群(NF群:7例)と臨床像を比較検討した。【結果】主診断はF群;TA1例、MA3例、SV2例で、NF群;TA5例、SV1例、DORV1例であり、F群では有意に右心室型が多かった(P=0.04)。観察期間はF群;3.7-16.4年、NF群;0.4-16.5年で有意な差を認めなかった(P=0.25)が、initial Fontan手術年齢はF群11.3歳(4.5-37歳)、NF群4.8歳(3.1-7.5歳)とF群で有意に高かった(P=0.02)。conversion前の心臓カテーテル検査ではCVP, EDP, CIともに両群で差はなかったが、conversion後はF群でCVPの有意な上昇を認めた(F群;13.5→17、NF群;12→9.5(mmHg), ΔCVP P=0.03)。AST, ALT, γGTP, T-Bil, Plt, Creはいずれも有意差を認めなかった。ロジスティック回帰分析では中等度以上の房室弁逆流、右室型心室、initial Fontan手術年齢、腹水の存在、CVPがconversion後のfailureに有意に相関しており(P<0.01)、その中でもconversion前のの房室弁逆流と腹水の存在が最も大きく関与していた。【結論】TCPC conversion後のfailed Fontanリスク因子として、右室型心室、房室弁逆流、腹水の存在、initial Fontan手術年齢が高いことがあげられた。TCPC conversionの効果が期待できない症例の予測と治療戦略について今後さらに検討が必要である。