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[P56-04] 下気道の気道狭窄を合併した先天性心疾患例の検討
キーワード:肺血流増加型心疾患、気道狭窄、染色体異常
【背景】先天性心疾患に下気道の気道狭窄を合併する例では呼吸管理に難渋することが多く、遠隔期に突然死する例も散見される。心疾患の治療のみならず下気道の気道狭窄に対する治療成績の更なる向上が求められる。【目的】先天性心疾患に下気道の気道狭窄を合併した症例の臨床像と当院で行われた治療法の検討。【方法】対象は2010年1月から2015年12月に入院した先天性心疾患の症例のうち、気管支鏡検査で下気道の気道狭窄を認めた17例とした。これらの症例で、肺血流増加をきたしたか否か、気管支鏡検査所見を含めた気道狭窄の種類、行われた治療法とその後の転帰を調べた。【結果】対象とした17例の内訳は、ASD、TACがそれぞれ3例、DORV、TOFがそれぞれ2例、absent PA valve、HLHS、IAA、PDA、PPHN、TAPVR、VSDがそれぞれ1例であった。気道病変では、気管軟化症もしくは気管支軟化症の合併例が16例であり、1例で気管狭窄がみられた。9例では染色体異常がみられた。治療とその転帰は、生存11例、死亡6例であった。心内修復術後、外ステント術後に改善した例がそれぞれ1例、CPAPが2例、気管切開術後High PEEP療法を行ったのが7例であった。4例はNICU入室後退院前に死亡した。High PEEP療法を行い、呼吸器を離脱できたのが2例で、3例は現在治療中である。死亡例は2例で死因はそれぞれ、敗血症、消化管出血であった。CPAPを行った2例ではいずれも現在治療中である。【考察】以前より、肺血流増加が下気道の気道狭窄のリスク因子と考えられてきた。今回の調査でもこれに矛盾せず、これらのうち特に染色体異常を有する例では積極的な検索が必要と考えられた。治療法としてはCPAPやHigh PEEP療法も選択肢の一つとなり、定期的に気管支鏡検査を行いながら経過観察することが勧められる。