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[P77-02] Blalock-Taussig Shunt術後における高肺血流量性心不全のrisk factor
Keywords:Blalock-Taussig Shunt、高肺血流量性心不全、risk factor
【背景・目的】Blalock-Taussig Shunt(BTS)は先天性心疾患患者に対する姑息手術として最も行われている手術術式の一つである。しかし本手術の死亡率は約10%と低くはなく、特に高肺血流量性心不全は急性期の循環動態悪化の要因である。今回我々は当院でBTSを施行された患者群を解析し、高肺血流量性心不全に関連する危険因子を検討した。【対象と方法】2002年1月から2015年11月までに当院でBTSを施行した患者73症例を対象。2回目以降のBTS症例、TAPVR repair等の複雑術式併施症例は除外。人工血管は全例ePTFE graftを使用し、側開胸もしくは正中開胸にてアプローチ、症例によっては人工心肺を使用。動脈管は術中に試験的に遮断し、酸素化が保てない症例は一部開存させたまま手術終了。術前術中患者データを因子として術後高肺血流量性心不全の危険因子を分析した。【結果】単変量解析では、高肺血流量群 vs 非心不全群で有意差があったのは、手術時間 (P=0.034)、術直後Ht (P=0.014)、術後3時間後のFiO2 (P0.002)、ICU滞在期間 (P<0.001)、挿管期間 (P<0.001)、側開胸でのアプローチ (p=0.002)であった。多重ロジスティック回帰分析からは、術後3時間後のFiO2の値が最も影響を与えていた。全体の手術死亡率は 4.1%(3例)でありいずれも高肺血流群であった。【考察】当院における初回BTS術後手術死亡率は 4.1%であり過去の報告と比較しても遜色のないものであった。術後高肺血流量に陥る危険因子としては過去の報告では3kg未満の低体重、単心室形態、純型肺動脈閉鎖症などが挙げられていたが今回の検討ではいずれも有意差を認めることはできなかった。しかし術直後Ht、術後3時間でのFiO2の値に有意差を認めた。これらは、心不全予防のために適切なHtの管理が重要である可能性があること、FiO2の値により心不全に陥るかどうかの予測が出来る可能性があることを示している。さらなる症例数の蓄積および検討が必要である。