第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

単心室、その他

ポスターセッション-外科治療11(P80)
単心室、その他

2016年7月7日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
落合 由恵(九州病院 心臓血管外科)

P80-01~P80-05

18:00 〜 19:00

[P80-02] 機能的単心室に対するTCPC completion後に発見された冠静脈洞閉鎖の1治験例

吉田 雄一, 横山 晋也, 長門 久雄, 長阪 重雄, 金田 幸三, 西脇 登 (近畿大学医学部奈良病院心臓・血管センター 心臓血管外科)

キーワード:TCPC、coronary sinus atresia、re-routing

【症例】large VSD (UVH), p/o extra cardiac TCPC,左側上大静脈遺残,coronary sinus atresia.【現病歴】生下時より低酸素・心雑音あり、large VSD(perimembranous~muscular)による機能的単心室の診断で、生後3週間で肺動脈絞扼術(PAB)施行した.術後造影にて心室は単心室形態で中隔形成(sepatation)は不可能と判断し、8ヶ月で両方向性Glenn手術(BDG)、1歳5ヶ月でextra cardiac TCPCに到達した.術後1年のカテーテル検査でTCPC routeに狭窄なくCVPは12~13で良好であったが、BDG造影時に異常血管が造影されたため無名静脈までカテーテルを進て造影したところ、左側上大静脈(pl-SVC)と逆行性に冠静脈洞(CS)が造影された.冠動脈造影(CAG)を追加施行すると、冠動脈の末梢が枯れ枝状で、CSは盲端になっており冠静脈血流はpl-SVCに還流していた.以上よりCS閉鎖(atresia)とpl-SVCと診断した.更にドブタミン(Dp)負荷心筋シンチを追加施行したところ、前壁・側壁で軽度再分布あり、心電図上もST低下を認めた.Fontan循環であるため無名静脈の方が心房よりも圧が高く、冠循環に不利であると考えられたため外科的治療方針となった.【手術】循環停止下に左側上大静脈(l-SVC)より気管支鏡を挿入した.先端の光源をガイドとして右房壁内に埋没するCSを同定し、心房壁を切開して内膜を固定した.【術後経過】術後CAG施行し、LCA及びRCAからCSへのスムーズな還流を認めた.【考察】機能的単心室に対するTCPC術後に診断されたCS atresiaに対し、pl-SVCより挿入した気管支鏡の光源をガイドとしてCSを同定して、re-routingを行った.Fontan循環におけるCS atresiaは、冠静脈系が肺動脈に還流することにより、CSの圧が上昇して冠循環に不利となるため、予後を損ねる可能性があり、re-routingして良好な冠循環を確立する必要があると考えられた.