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[YB01-04] フォンタン手術後遷延性胸水貯留に対するリスク解析と予防策の検討
Keywords:フォンタン、胸水貯留、周術期管理
(目的)フォンタン手術術後の胸水貯留はタンパク漏出、ドレーン留置による感染、しいては入院期間の延長といった悪影響を及ぼす。フォンタン手術術後の胸水貯留のリスク因子について解析を行った。(方法)2008年8月から2016年1月までにフォンタン手術を行い、同一入院中に再手術を行わなかった連続31例を対象に後方視的に検討した。手術時平均月齢27.7±5.7ヶ月、平均体重10.8±1.2kg。手術後からドレナージした累積日数は平均6.4±4.0日であった。ドレナージ日数を4日以上(A群、n=20)、4日未満(U群、n=11)に分けて、リスク因子について解析した。(結果)体重、月齢、PA index、Rp、BNPといった術前因子ではA, U群間に有意な差はなかった。また、術中因子に関してはグラフトサイズやfenestrationの有無、術中フェンタニル投与量、術中水分バランスではA, U群間に有意な差はなかったが、手術時間や人工心肺時間は有意にA群で長かった(p=0.04, 0.01)。術後因子としては術後最大乳酸値やCVPについては有意な差はなかったが、A群の方が有意に術後挿管時間は長く(p=0.03)、術翌日までの水分バランスが嵩み(p<0.01)、術翌日からの24時間胸水量は多かった(p<0.01)。多変量解析では術翌日までの水分バランス、術翌日24時間の胸水量と術後挿管時間がフォンタン術後の胸水貯留のリスク因子としてあげられた(p<0.01)。ROC曲線から求めた閾値は各々+50ml、14.4ml/kg、133分であった。(結語)術前背景や手術因子、術中の麻酔量や水分管理はフォンタン手術後の胸水貯留に影響は及ぼさない結果であった。一方で、術後翌日までの管理が長期胸水貯留に寄与しており、早期抜管や術後早期の水分バランス管理が重要である。また、術翌日の胸水量が15ml/kg以上の場合、胸水の遷延性を示唆すると考える。