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[I-OR10-02] 先天性心疾患の二心室修復術後患者の潜在的な腎機能異常の評価
キーワード:先天性心疾患術後, 腎機能, 尿中アルブミン
【背景】先天性心疾患術後遠隔期の合併症の一つに腎機能障害がある。これはフォンタン術後では広く知られているが、二心室修復をした患者であっても起こりうる。腎機能の評価にはeGFRが一般的に用いられているが、尿中アルブミンも早期腎障害の指標として使用されることが多い。【目的】二心室修復術後遠隔期で、eGFRが低下する前に尿中アルブミンが上昇しているような潜在的腎機能異常の症例の特徴を知ること。【対象と方法】2015年から1年間に当院に検査入院した、先天性心疾患術後(二心室修復後)患者32名のうち、術後10年以上を経過した器質的腎障害がない症例14名を対象とした。年齢は12-29歳(中央値18.5歳)。心臓カテーテル評価で得られた検査値と腎機能を示すバイオマーカー(eGFR、Cre、cysC、尿中μAlb/cre)を検討した。尿検査は早朝第一尿を採取して検査した。【結果】14名のうちeGFRcysC<90 mL/min/1.73m2の症例は0名であった。このうち、μAlb/cre>10 mg/gCrの症例は6名(43%)存在した。また、μAlb/cre高値群と正常群(高値群vs正常群)で比較すると、高値群で%RVEDVが大きく(中央値: 156%N vs 114%N)、RVEFが低かった(中央値: 43% vs 63%)。中心静脈圧や心係数には差を認めなかった。また、μAlb/cre高値群で根治手術までにチアノーゼがあった症例は6人中4名、正常群では8人中2名であった。【結論】eGFRが正常であっても、μAlb/creが正常よりも高値な症例が6名存在し、潜在的な腎機能異常を反映している可能性があった。また、μAlb/cre高値群は正常群と比較して、一部の右心機能パラメーターに差を認め、根治術前にチアノーゼを認めた症例が多かった。今後さらに症例を蓄積する予定である。