The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Free Paper Oral

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

Free Paper Oral 27 (II-OR27)

Sat. Jul 8, 2017 8:30 AM - 9:20 AM ROOM 5 (Exhibition and Event Hall Room 5)

Chair:Hiraku Doi(Department of Pediatrics,Congenital Heart Disease Center,Tenri Hospital)

8:30 AM - 9:20 AM

[II-OR27-04] 6分間歩行試験中の酸素飽和度と心拍数の変動は肺高血圧症の肺動脈圧・肺血管抵抗値と相関する

松裏 裕行1, 中山 智孝1, 矢内 俊1, 直井 和之1, 池原 聡1, 高月 晋一1, 佐地 勉2 (1.東邦大学 第1小児科, 2.東邦大学 医学部 心血管病研究先端統合講座)

Keywords:肺高血圧, 6分間歩行距離, 酸素飽和度

【目的】6分間歩行試験(6mw)は肺動脈性肺高血圧(PAH)の重症度評価・予後予測・治療効果判定に重要だが、歩行中の心拍数(HR)と酸素飽和度(SatO2)の変動の意義については十分評価がなされていない。6mwにおける酸素飽和度と心拍数の変動の臨床的意義について検討することを目的に今回の検討を行った。【対象と方法】対象は特発性・遺伝性PAHに対し心臓カテーテル検査と1週間以内にBNP値測定と6mwを実施しえたのべ142例(男/女=61/81;評価時年齢20.5±9.0歳:治療開始から6.9±4.7年)である。実施にあたっては経皮酸素飽和度モニターを医師が運搬しつつ患者の状態を観察し、歩行距離に加え開始直前から終了時まで1分毎にSatO2とHRを記録した。在宅酸素療法中の患者は通常通り吸入を実施したまま6mwを実施した。【結果】BNP 20.3(4~707.1)pg/mlであり、血行動態指標はPAm 56.0±19.5mmHg、Rp14.3±7.5 WU・m2、Rp/Rs 0.74±0.29、CI 3.5±0.8 l/min/m2であった。一方6mw距離は室内気で実施84例、酸素1~2 L/分吸入下施行58例、四肢末梢冷汗あり107例、 522.4±102.1 m、歩行中の最高 HR 128.5±19.1 /分、HR 変動は47.5±18.1/分、最低SatOSatO292.4±4.4%、SatO2変動は4.9±3.9 %であった。6mwと血行動態指標の関係を検討すると(歩行距離*最低SatO2/最高HR)は酸素負荷によるPAm、Rp、Rp/Rsの変動とは相関がないもののpulmonary arterial capacitance index (PACi)とは弱い正相関(r= 0.30; p<0.0001)を示した。さらに(歩行距離*最低SatO2/最高HR/BNP)はmPA (r= -0.60; p<0.0001)、Rp (r= -0.53; p<0.0001)、Rp/Rs (r= -0.58; p<0.001)と強い負の相関を示し、PACi<0.85(=予後不良)に対するROCを求めるとAUC=0.86 (p<0.0001)であった。【結論】肺高血圧症に対する6mwは歩行距離に加えて施行中のHRとSatO2の変動を評価することが極めて重要で、BNPと組み合わせて肺血管抵抗値・肺動脈圧の予測が可能である。