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[II-OR28-02] 肺高血圧症治療薬のiPS細胞由来心筋細胞Ca電流に及ぼす影響
キーワード:iPS細胞, Ca電流, 肺動脈性肺高血圧症
【背景】肺動脈性肺高血圧症は肺血管抵抗の上昇により右心肥大さらには右心不全から死に至る疾患である。薬物治療の基本的戦略としてエンドセリン、一酸化窒素ならびにプロスタサイクリンの3つの経路を介する血管拡張薬が用いられている。これら薬剤は肺動脈性肺高血圧症に対する治療だけではなく先天性心疾患に伴う肺高血圧症の治療薬としても用いられている。これら薬剤の心臓への影響は十分に検討されているとは言えない。われわれは第20回日本小児肺循環研究会においてラットを用いた研究成果を報告した。【目的】肺動脈性肺高血圧症治療薬のiPS細胞由来ヒト心筋細胞Ca電流への影響の検討すること。【方法】健常ヒトiPS細胞から分化誘導した心筋細胞を作成。各経路を代表する薬剤(ベラプロスト、セレキシパグ、ボセンタン、アンブリセンタン、シルデナフィル、タダラフィルなど)の心筋細胞Ca電流への影響をパッチクランプ法により測定する。【結果】ラットにおける研究では、ボセンタンはエンドセリンによるCa2+電流抑制をブロックした。ボセンタン単独ではCa電流への影響は見られなかった。同様に、ベラプロストによるCa電流への影響は見られなかった。一方、シルデナフィルはCa電流を抑制し、イソプロテレノールで増加したCa電流をも抑制した。一方、健常ヒトiPS由来心筋細胞での検討では、エンドセリンはCa電流を抑制したが、ボセンタンならびにアンブリセンタンにより抑制はブロックされた。他の薬剤の健常ヒトiPS由来心筋細胞への影響は今後検討する。【まとめ】肺動脈性肺高血圧症治療薬のiPS細胞由来ヒト心筋細胞Ca電流への影響に関する研究を開始したばかりである。今後各種薬剤の影響を検討する。