The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Free Paper Oral

学校保健・疫学・心血管危険因子

Free Paper Oral 36 (II-OR36)

Sat. Jul 8, 2017 2:45 PM - 3:35 PM ROOM 6 (Exhibition and Event Hall Room 6)

Chair:Naomi Izumida(Akebonocho Clinic)

2:45 PM - 3:35 PM

[II-OR36-03] 学校心臓一次検診における全例心エコー検査導入の有用性と実行可能性について

小栗 真人1, 堀 香織1, 中村 常之1, 鮎沢 衛2 (1.金沢医科大学 小児循環器内科, 2.日本大学 医学部 小児科)

Keywords:学校心臓検診, 心エコー, 一次心臓検診

【背景】石川県は学校心臓検診対象の小学一年生が約4千人の大きな市から約50人の小さな町まで全部で19の市町からなる。学校心臓検診は二つの検診機関で行っており、一次検診の方法は各教育委員会の要望によって異なる。一次検診の判定が要精密検査または心臓病管理中となった児童は、各自医療機関を受診する方法をとっているが、過疎地区を中心に専門医が不在の地域も多く、精密検査の受診遅延や不適切な管理状況が問題となっている。【目的】学校心臓一次検診に心電図、心音図が採用されている過疎地域に全例心エコー検査を導入し、実行可能性、要精密検査児への管理を含めた有用性を検討する。【方法】平成28年6月、S町S小学1年生120名を対象とした。従来の心電図、心音図に加え、心エコーを全例に行った(小児循環器専門医施行)。検診時間は約4時間半で行う必要があり心エコー検査時間は一人当たり約2分を目安とした。【結果】実際の心エコー平均検査時間は102秒/人であり、時間的に問題はなく従来の検診時間と同じ時間で実施可能であった。従来の心電・心音図検査の判定で要精査となった児童は心室期外収縮2名であった。心エコーにて軽度肺動脈圧上昇、左肺動脈狭窄、動脈管開存症、僧帽弁逆流、卵円孔開存、左冠動脈拡張、大動脈弁逆流の7名を抽出した。心エコー検査に要する時間は所見があるほど長くなり、左冠動脈拡張児の心エコー検査は5分を必要とした。【考察】従来の方法より心血管系疾患の児童が多く抽出された。ただし、それらの児童の情報は同日学校側に伝達可能であった。そのため、保護者への疾患説明の病院指定と日時設定が容易になり、夏休み前には有所見の児童保護者に説明することができた。【結論】学校心臓一次検診の方法は全国的に確立しているが、地域による疾患抽出能の質的な差は大きく、地域性を考慮した検診システムを構築していかなければならない。