6:15 PM - 7:15 PM
[II-P29-08] 川崎病治療前におけるCAL予測因子としてのD-dimer値の検討
Keywords:川崎病, D-dimer, 冠動脈
【はじめに】
川崎病では大量ガンマグロブリン療法(以下IVIG)に対する不応性の予測スコアが知られているが、治療前に急性期冠動脈病変(以下CAL)を直接予測するものは不明である。MasuzawaらはIVIG不応川崎病でPE前のD-dimer値がCALのリスクファクターで、D-dimerは血管内皮障害の指標として血管炎の病勢を反映していると報告している(Ther Apher Dial. 2015; 19(2):171-177)。
【目的】
D-dimerの川崎病治療前値がCALの予測因子となるか検討した。
【対象】
2010年7月から2015年6月の5年間で山梨川崎病プロトコールに登録された川崎病患者551症例。
【方法】
初回IVIG有効群、追加IVIG有効群、IVIG不応群の3群について、D-dimerの治療前値とCALの発生の有無についてそれぞれ検討した。
また、初回IVIG有効群と初回IVIG不応群(追加IVIG有効群+IVIG不応群)に分け、のD-dimer, Alb, CRP, AST, Plt, Naの治療前値について検討した。
検定にはいずれもt検定を用いP<0.05を有意差ありとした。冠動脈病変は川崎病心臓血管後遺症の診断と治療ガイドラインの定義に準じた。
【結果】
D-dimerの治療前値は1:初回IVIG有効群(CALあり24例、CALなし 298例)、2:追加IVIG有効群(CALあり13例、CALなし 74例)、3:IVIG不応群(CALあり13例、CALなし7例)のいずれもCALの発生との間に有意差を認めなかった(1:3.84±7.01vs2.00±2.01, p=0.212、2:2.80±2.40vs2.20±2.43, p=0.421、3:2.39±2.20vs1.55±1.15, p=0.358)。
初回IVIG有効群は初回IVIG不応群と比べAlb, Na, Pltの値が有意に高く、AST, CRPの値が有意に低かったが、D-dimerの治療前値は有意差を認めなかった(p=0.628)。
【考察】
D-dimerの治療前値はIVIGの有効群、不応群ともCALを予測しえなかった。D-dimerの値は血管炎急性期で上昇するため、IVIG不応例におけるD-dimerの高値はCAL形成の結果を見ている可能性もあり、治療開始前のCAL発生の予測因子とならないことが示唆された。
川崎病では大量ガンマグロブリン療法(以下IVIG)に対する不応性の予測スコアが知られているが、治療前に急性期冠動脈病変(以下CAL)を直接予測するものは不明である。MasuzawaらはIVIG不応川崎病でPE前のD-dimer値がCALのリスクファクターで、D-dimerは血管内皮障害の指標として血管炎の病勢を反映していると報告している(Ther Apher Dial. 2015; 19(2):171-177)。
【目的】
D-dimerの川崎病治療前値がCALの予測因子となるか検討した。
【対象】
2010年7月から2015年6月の5年間で山梨川崎病プロトコールに登録された川崎病患者551症例。
【方法】
初回IVIG有効群、追加IVIG有効群、IVIG不応群の3群について、D-dimerの治療前値とCALの発生の有無についてそれぞれ検討した。
また、初回IVIG有効群と初回IVIG不応群(追加IVIG有効群+IVIG不応群)に分け、のD-dimer, Alb, CRP, AST, Plt, Naの治療前値について検討した。
検定にはいずれもt検定を用いP<0.05を有意差ありとした。冠動脈病変は川崎病心臓血管後遺症の診断と治療ガイドラインの定義に準じた。
【結果】
D-dimerの治療前値は1:初回IVIG有効群(CALあり24例、CALなし 298例)、2:追加IVIG有効群(CALあり13例、CALなし 74例)、3:IVIG不応群(CALあり13例、CALなし7例)のいずれもCALの発生との間に有意差を認めなかった(1:3.84±7.01vs2.00±2.01, p=0.212、2:2.80±2.40vs2.20±2.43, p=0.421、3:2.39±2.20vs1.55±1.15, p=0.358)。
初回IVIG有効群は初回IVIG不応群と比べAlb, Na, Pltの値が有意に高く、AST, CRPの値が有意に低かったが、D-dimerの治療前値は有意差を認めなかった(p=0.628)。
【考察】
D-dimerの治療前値はIVIGの有効群、不応群ともCALを予測しえなかった。D-dimerの値は血管炎急性期で上昇するため、IVIG不応例におけるD-dimerの高値はCAL形成の結果を見ている可能性もあり、治療開始前のCAL発生の予測因子とならないことが示唆された。