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[III-P31-08] 非典型的傍心臓型総肺静脈還流異常症を合併した機能的単心室症例
Keywords:総肺静脈還流異常, 画像診断, 複雑心奇形
総肺静脈還流異常症(TAPVC)合併機能的単心室(f-SV)症例では、PVO顕在化がFontan手術到達のrisk factorとなる。経過中一側Glenn血流停滞で明らかになった、TAPVC(2b)亜型と考えられた形態を伴うf-SV症例を経験した。(症例) 3歳8か月、女児。出生時心形態診断はSDN, MS, hypoplastic LV, ASD, VSD, DORV, SAS, CoA, PDA, TAPVC(2a), apicocaval juxtaposition。生後1日目bil PAB、生後2か月時CoA repair+DKS+central shunt、1歳時BDG手術を施行。経過中にre-CoA進行により3歳時re-CoA repairを施行後、両側PAへの側副血行増加、Glenn血流の左上PAへの途絶、左下PAへの低下を指摘。心エコー検査でPVのRA還流部血流速度増加(1.8m/s)、連続流となりPVO進行を認めたが、明らかな左右PV形態の左右差はなく、PV還流部形態精査のためMDCT立体構築画像を作成した。右上下PV、左下PVはRA背側で共通肺静脈(CPV)を形成したが、RA後壁の右上側へ還流する部分で狭窄を認めた。左上PVのCPVへの血流は途絶していたが直接LAへ還流、左下PVはまたLAにも直接還流したがASDは狭小化していた。生直後CT画像を改めて3D構築画像に作成するとASDは存在、左上PVのCPV開口部も確認できた。つまり、経過中に左上PVのCPVへの血流の途絶、ASD狭小化より左上下PAへのGlenn血流減少、加えてCPVのRA還流部狭小化も進行し、3歳8か月時手術施行。高度癒着により背側RAからのapproachは困難で、小さい左側LAを切開し左上下PVのLA開口部、CPV内腔を確認した。心房中隔は完全閉鎖しており、ASDを作成しRAへ到達し、CPV還流部をなんとか確認できたが、ASD越しの視野では還流部への手術操作が難しく、CPV前壁とRA後壁の位置関係を確認しながらRA内からRA後壁、CPV前壁を可及的大きく切開縫合し吻合口を作製した。術後PVO所見は認めず、左PAへのGlenn血流を再確認できた。(まとめ) 複雑なPV還流形態を術前3DCT構築画像により把握でき、PVO解除術を施行できた。