The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

心臓血管機能

Poster (III-P33)

Sun. Jul 9, 2017 1:00 PM - 2:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Hirofumi Saiki(Pediatrics, Kitasato University)

1:00 PM - 2:00 PM

[III-P33-06] Vector Flow Mappingによる両大血管右室起始の大動脈血流解析

高橋 努, 小山 裕太郎 (済生会宇都宮病院 小児科)

Keywords:aortopathy, ファロー四徴症, Vector Flow Mapping

【背景】aortopathyとして、ファロー四徴症の上行大動脈拡大は成人期の重要な合併症であり、大動脈中膜変性による血管弾性低下と大動脈への容量負荷が主因と推測されている。これらの変化は未手術例やチアノーゼの期間が長い症例で有意であるが、心内修復術後も進行性であることが示されている。近年、Vector Flow Mapping (VFM) で血流ベクトルに沿って流線の表示を行い、渦流やエネルギー損失 (Energy Loss、EL) 、壁ずり応力(Wall Shear Stress、WSS)の解析が可能となっている。【目的】大動脈の右室騎乗により両心室から大動脈内に流入する血流をVFMでとらえ、渦流やEL、WSSを可視化することで上行大動脈拡大の機序を考察する。【症例1】2歳4か月、女児。ファロー四徴症タイプの両大血管右室起始(セントラルシャント術後、心内修復術前)。【症例2】7か月、男児。ファロー四徴症タイプの両大血管右室起始(一期的心内修復術前)。【結果】2症例共に、VFMによる流線解析から両心室からの血流が大動脈で合流する部位に一致して、大動脈内に渦流と高いELを認めた。また、渦流の近傍の大動脈後壁で高いWSSを認めた。合流部のEL平均値は194.0 J/m s(症例1)、132.0(症例2)に対し、合流部から離れた大動脈内の対照部位は25.8(症例1)、20.2(症例2)だった。【考察】本疾患はファロー四徴症と同様の血行動態であるが、大動脈騎乗の程度がより強く、ファロー四徴症の上行大動脈拡大のよいモデルとなりうる。両心室から駆出される血液は共に大動脈内に流入するが、合流する部位で渦流が発生し、高いEL、高いWSSが可視化された。この渦流とELは合流部で局所的な血流ベクトルが大きく変動し、血液の粘性に伴い摩擦熱を発生していることを意味する。これらの所見は、心内修復術前の上行大動脈拡大の機序となっている可能性がある。流線解析とEL、WSSは大血管に与える負荷を定量的に評価する方法として新しい知見を与えてくれる。