The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

心筋心膜疾患

Poster (III-P36)

Sun. Jul 9, 2017 1:00 PM - 2:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Atsuhito Takeda(Department of Pediatrics, Hokkaido University Hospital)

1:00 PM - 2:00 PM

[III-P36-06] 若年性特発性関節炎の治療管理中に発症した閉塞性肥大型心筋症:シベンゾリンが奏功した一例

清水 大輔1,2, 宗内 淳2, 岡田 清吾2, 白水 優光2, 飯田 千晶2, 長友 雄作2, 渡邊 まみ江2, 神代 万壽美1, 楠原 浩一1 (1.産業医科大学 小児科, 2.九州病院 小児科)

Keywords:閉塞性肥大型心筋症, シベンゾリンコハク酸, 特発性若年性関節炎

【緒言】閉塞性肥大型心筋症(HOCM)に対する薬物治療として、β遮断薬やカルシウム拮抗薬の他、Naチャネル遮断薬も選択される。若年性特発性関節炎(JIA)治療管理中に併発したHOCM症例に対して、シベンゾリン投与により、有害事象なく左室流出路圧較差(LVPG)が改善した一例を経験したので報告する。【症例】12歳男児。1歳6か月でJIAと診断され、ステロイド・メトトレキセート内服、トシリズマブ投与(1回/2週)を継続していた。7歳時の心電図検査・心臓超音波検査で異常所見を認めなかったが、12歳時の定期外来で胸痛症状を訴え、心雑音を聴取したため、心電図検査・心臓超音波検査を行い、HOCMと診断された。LVPG180mmHgであったため入院精査を行った。体重38kg、BMI28とステロイド性肥満があったが、85/38mmHgと高血圧はなかった。胸写CTR62%、心電図では左側胸部誘導でR波増高と陰性T波など左室肥大所見を認めた。心臓カテーテル検査では左室心尖部圧182mmHg、左室流出路圧88mmHg、大動脈圧84mmHgであった。心筋生検は心筋肥厚のみで錯綜配列は目立たなかった。またアミロイドーシス・空胞変性等の所見もなかった。遺伝子検査で既知の遺伝子変異はみられなかった。β遮断薬に加えて、シベンゾリンコハク酸(50mg/日)内服を開始した。内服2時間後の血中濃度を測定し、有効治療域300-1500ng/dlを目標に心電図変化に注意しながら増量した。250mg/日でシベンゾリン血中濃度420ng/dlとなり維持量とした。シベンゾリン開始後、胸痛症状は消失し、5か月後の心臓超音波検査でLVPG60mmHgまで低下した。心電図検査ではQTc(Bazzet法)0.532秒→0.582秒と延長したがホルター心電図では心室性不整脈出現なく経過している。【考察】JIAに合併したHOCMの希少例を経験し、シベンゾリン内服により有害事象なく臨床症状の速やかな改善とLVPG低下がみられた。小児HOCMにおいても適切な有効血中濃度を維持することで効果が期待される。