第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

術後遠隔期・合併症・発達

ポスター (III-P38)
術後遠隔期・合併症・発達 3

2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:佐川 浩一(福岡市立こども病院 循環器科)

13:00 〜 14:00

[III-P38-02] 心室中隔欠損術後に肺膿瘍となり肺葉切除を要した一例

加藤 敦1, 倉岡 彩子1, 佐川 浩一1, 石川 司朗1, 檜山 和弘2, 角 秀秋2 (1.福岡市立こども病院 循環器科, 2.福岡市立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:心室中隔欠損, 肺膿瘍, 肺葉切除

【はじめに】心臓外科手術後に縦隔炎を経験することはあるが、肺膿瘍となり肺葉切除を要した症例を経験したので報告する。【症例】3か月女児。心室中隔欠損、肺高血圧の診断で、心室中隔欠損閉鎖術を施行。術後抜管を試みたが呼吸数上昇と頻脈が持続するため、沈静下で挿管管理を継続した。術後7日目に縦隔炎(TAZ/PIPC投与)、肺出血、DIC、敗血症(ブドウ球菌MRSAを検出)(VCM投与)となった。11日目には両側肺野に浸潤影を認め、縦隔洗浄とドレナージを行ったが、16日目に直径12mmの空洞病変を右肺野に認めた。26日目には空洞病変の拡大、空洞周囲の浸潤影が広がり、抗菌薬への反応は不良であった。気道内への出血も増加し、内科的治療は困難と判断し、28日目に胸腔鏡補助下右中葉切除術を行った。肺葉切除術から18日目に抜管、22日目にICUを退室した。【考察】術後感染から肺膿瘍にまで至る症例は稀ではあるが、黄色ブドウ球菌による呼吸器感染症は重症化することが多く、病状の進行が急速であることが知られている。黄色ブドウ球菌感染症は抗菌化学療法の発展に伴い重篤化する症例は減少したが、本邦ではMRSAが占める割合が高く、抗菌化学療法への反応が乏しい症例がある。本症例では空洞病変を形成しており、抗菌薬が病変部に十分に移行できなかったことも重篤化の一因であると思われる。本症例のように急激な進行を来し内科的治療のみでコントロールが困難な場合は、外科的治療も選択肢となりうる。