The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

術後遠隔期・合併症・発達

Poster (III-P38)

Sun. Jul 9, 2017 1:00 PM - 2:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Koichi Sagawa(Pediatric Cardiology Fukuoka Children's Hospital)

1:00 PM - 2:00 PM

[III-P38-09] 医原性大腿動静脈瘻の超音波および血管造影による形態学的検討

大西 達也, 福留 啓佑, 宮城 雄一, 寺田 一也 (四国こどもとおとなの医療センター 小児循環器内科)

Keywords:医原性大腿動静脈瘻, 超音波検査, 血管造影

【緒言】穿刺による大腿動静脈瘻の頻度は少ないが稀ではなく、鼠径部不快感、心不全、下肢浮腫などで気づかれる。自験例3例では超音波と血管造影を用いて形態的に評価し、各々で瘻形成の原因に相違を認めた。
【症例】症例1はフォンタン術後の5歳女児。心臓カテーテル検査(CC)の14か月後に鼠径部スリルと運動後の下肢腫脹を契機に、超音波検査(US)で大腿動脈と大腿静脈の本幹間に短絡血流を確認し動静脈瘻と診断した。症例2は823gで出生したファロー四徴症術後の1歳女児。CCの5か月後からの大腿腫脹を契機に、USで深大腿動脈から腹側の外側大腿回旋静脈への短絡血流を確認したが、大腿動脈周囲の静脈怒張が極めて著しかったため血管造影で形態を評価した。症例3はファロー四徴症術後の2歳男児。CCの翌日から鼠径部スリルを聴取し、USで浅大腿動脈から外側大腿回旋静脈への短絡血流を確認した。穿刺翌日からのスリル聴取は特異的であり、瘻が大きいことや多孔性の可能性を考慮し血管造影による形態評価を追加した。3例とも血管形成術を施行され軽快している。
【考察】症例1は右鼠径部cut downを用いた心房中隔裂開術の既往がある。処置後の癒着により前後に位置変化した大腿動静脈を貫通するように穿刺したことが原因であった。症例2は超低出生体重児でPIカテーテル留置の既往がある。血管造影で右総腸骨静脈狭窄が確認されており、PIカテーテル静脈炎による血管狭窄で、浅大腿動脈周囲の静脈系が怒張していたことが瘻形成の誘因となっていた。症例3は浅大腿動脈下位での瘻形成であり、穿刺部位が著しく尾側寄りであったことが原因であった。
【結語】大腿動静脈系に変化を及ぼす既往処置がある場合には、事前に穿刺部をUSで精査すべきである。また、尾側での浅大腿動脈穿刺は可及的に避けるべきである。超音波および造影検査で形態を評価し原因を追究することで再発防止に繋がると考えられる。