第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

成人先天性心疾患

ポスター (III-P39)
成人先天性心疾患 3

2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:立野 滋(千葉県循環器病センター 小児科)

13:00 〜 14:00

[III-P39-06] 成人先天性心疾患患者における直接作用型経口抗ウイルス薬によるC型慢性肝炎治療

安田 謙二, 中嶋 滋記, 坂田 晋史 (島根大学 医学部 小児科)

キーワード:C型慢性肝炎, 直接作用型経口抗ウイルス薬, 成人先天性心疾患

【はじめに】C型肝炎抗体検査による血液製剤スクリーニングが開始された1992年以前に手術歴のある成人先天性心疾患(ACHD)患者では、一般人口の数倍のC型慢性肝炎患者の存在が推定される。2014年にinterferon freeの直接作用型経口抗ウイルス薬(DAAs)が認可され、高い血中HCV-RNA持続陰性化が得られる様になり、今後ACHD領域においてもその治療が拡大する可能性がある。今回私達はC型慢性肝炎のACHD患者においてDAAs治療を行ない、ウイルス排除が得られた症例を経験したので報告する。【症例】37歳男性、房室錯位、両大血管右室起始、肺動脈狭窄の機能的修復術後、術後完全房室ブロックのペースメーカー植込術後、解剖学的右室不全のCRT-P植込術後で、1992年2月までに6回、以降10回の心臓関連手術歴あり。遺残心房間短絡、解剖学的僧帽弁狭窄のため心房間で右左短絡を認め、経皮酸素飽和度は89%、NYHA-III、以前より、HCV-RNA陽性(HCV-genotype 1b)で経過観察中であったが、軽度alanine aminotransferase上昇があり、C型慢性肝炎の治療を計画した。DAAs治療開始前HCV-RNA 7.2 logIU/mL、HCV NS5A耐性変異L31、Y93とも野生型でombitasvir+paritaprevir+ritonavir 12週間投与を開始した。治療中軽度高ビリルビン血症の悪化があり、治療開始4週から2週間DAAs減量を要したが、これ以外に明らかな副作用や血行動態悪化はなく治療を完遂した。治療開始1か月でHCV-RNAは陰性化、以後も陰性を維持している。【まとめ】血行動態不良のACHD患者においてDAAsによるC型慢性肝炎治療は安全に実施でき、ウイルス排除できた。