[I-OR09-02] 急性期川崎病における初回グロブリン投与終了時点での効果判定
キーワード:川崎病, 大量免疫グロブリン療法, 炎症反応
急性期川崎病における初回治療効果判定は現状では、解熱が急性期川崎病治療の奏効した状態と判断している。しかし、解熱後に冠動脈瘤形成を認める症例も散見され、解熱や主要症状の改善のみで治療が成功したと判断できない症例もあり、治療(大量グロブリン投与IVIG)後の炎症状態を評価する指標に関して検討した。対象と方法:初期治療(1st line)としてステロイド治療が行われていない急性期川崎病患者144例を対象とした。うちIVIG反応群124例(2.9±0.4才)と初回IVIGにて奏効が得られず結果的にIVIGやステロイドの追加治療(ウリナスタチン投与は除いた)を要したIVIG不応群20例(4.0±1.2才)であった。初回IVIG終了後12-24時間以内に血液検査を行い、好中球数、リンパ球数、治療開始病日、AST, ALT, CRP, 血小板, Na値を各群で比較し初回治療終了時点でその後の追加治療を要するかどうかを予測できるかどうかを検討した。結果:治療開始病日(5.2±0.4 vs. 4.1±0.4, P=0.02)、好中球数(2730±400 vs. 7050±1580, P<0.001)、CRP(3.6±0.5 vs. 6.2±1.7, P<0.001)、AST(37.5±3.2 vs. 59.8±24.6, P<0.001)、ALT(34.3±6.1 vs. 72.9±32.9, P<0.001)、Na値(137.5±0.4 vs. 133.8±1.4, P<0.001)の間に反応群と不応群の間に有意差を認めた。IVIGの反応性を従属変数として2項ロジスティック解析行い好中球数(P=0.007)とNa値(P=0.01)が独立変数として残った。ROCか解析にて好中球数のカットオフ値4200/mL(感度 0.80, 特異度0.85, AUC 0.875)、Na値のカットオフ値 135.5mEq/L(感度 0.81, 特異度0.75, AUC 0.837)となった。結語:初回IVIG終了直後の検査データとしてCRP値と合わせて好中球数4200/mL以下、Na値 135.5mEq/L以上が治療奏効の予測マーカーとして考えられた。しかし、今後も妥当性に関し更なる検討を要する。