[I-S04-02] 小児院外心停止に対する自動体外式除細動の検討
キーワード:Public-access defibrillation, 院外心停止, AED
【背景・目的】2004年の市民による自動体外式除細動器(以下AED)の認可後、Public-access defibrillation(以下PAD)による救命が増えている。小児の院外心停止AED例について、心停止、蘇生の状況や診断、予後を明らかにし、PADがもたらす効果を検討する。【方法】2001~2017年に愛知県内8施設における0~19才の院外心停止AED症例を対象とし、診療記録から発症年齢、基礎疾患、活動内容、AED実施者、覚知から実施までの時間、AED記録、過去の心電図検診、遺伝子検査、診断、治療、予後について調査し2009年までと2010年以後で比較した。【結果】2001~2009年6例、2010~2017年16例の22例(男17、女5)。12~15才13例(59%)、運動中14例(64%)。6例(27%)に基礎疾患があり(構造異常2例、心筋炎・心筋症4例)、過去の心電図検診異常は3例にみられた。AED実施者は、2009年までが救急隊5例(83%)、2010年以後は救急隊7例(44%)、教諭・bystander9例(56%)で、覚知からAED実施までは、2009年までが10分以内1例(17%)、10~30分3例(50%)、2010年以後は5分以内2例(13%)、5~10分4例(25%)、10~30分5例(31%)であった。AED記録はVF 21例で、10例に遺伝子検査が行われRyR2変異 3例、KCNQ1変異1例、DSP変異1例、異常なし4例、結果未1例であった。IVF7例、CPVT4例、LQT4例、Brugada1例、心筋炎・心筋症に伴うVF4例、構造異常に伴うVF2例と診断され、治療は抗不整脈薬6例、TV-ICD2例、TV-ICD+抗不整脈薬5例、開胸ICD+抗不整脈薬2例、S-ICD+抗不整脈薬1例、外科手術1例であった。予後は後遺症なく生存13例(うち2010年以後11例)、後遺症あり生存3例、死亡6例であった。【考察・結語】2010年以後、小児の院外心停止に対する教諭・bystanderのAED実施が増加し、後遺症なく生存復帰したケースが増えていた。今後も遺伝性不整脈の救命増加が予測される。後遺症なき生存に繋げるためには市民への心肺蘇生教育が重要と考えられた。